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30代の悩めるファッション・ライフスタイル日記

30代のパパが、インポートファッション、インテリア、雑貨などのこだわりのライフスタイルについて綴るブログです。

ナポリを着て死ね!?:後編

こんにちは!
本日は、「ナポリを着て死ね!?」の後編ということで、ナポリスーツの魅力について迫ってまいりたいと思います。

■なぜ、今ナポリなのか!?
前編では、下記の時代的背景を基にして、権威や階級としての象徴であるスーツという価値観が崩壊していったのではないか、と記述致しました。

・資本主義の台頭により「家柄や身分」と「冨」、そして「権威や階級の象徴としてのファッション(スーツ)」が一致を見なくなったこと。

・楽な方楽な方に流される人間は、ファッションにおいてもより”楽”を求めて来た結果、威厳のある見た目よりも、よりお洒落であり、着心地の良い、”楽”なスーツに流されていったこと。

そうなると、肩パッドが入り、ウエストが絞りこまれ、重厚感のある目付の重い英国産の生地を使った威厳のあるスーツよりも、見た目が華やかで、より自分自身が着ていて着心地の良い、楽なスーツに注目が集まっていくわけですね。

現在のスーツの主流である通称“アンコン・ジャケット”。パットや芯材を極力省くことで肩周りを軽く仕上げ、まるでカーディガンのような、軽やかな着心地を実現します。

これはもともと、風光明媚な地であるナポリに、大英帝国をはじめ、諸外国の王族や貴族が”ひと夏”のバカンスを楽しもうと訪れたことがきっかけで誕生したと言われております。リゾートでバカンス、といってもそこはやっぱり王族や貴族ですから、ドレスコードが存在するわけですね。Tシャツに短パンに、ビーチサンダル、というわけにはいかない。(笑)

そこで、彼らは一夏を過ごすため”だけ”の、より軽量でリラックスできるジャケットを、ナポリのサルトリアに作らせたと言います。これが、“アンコン・ジャケット”の誕生の瞬間なわけです。

もともと人件費が安かったこともあり、ヨーロッパ諸国の“縫製工場”的な位置づけにあったイタリアですが、イタリア北部が工業化をしていったのに対して、ナポリを含む南部は、今なお仕立て文化、手縫い文化が残っている希少なエリアです。

今でも現役の職人さんである70代前後の方々は、それこそ齢1ケタの頃から、サルトリアに働きに出ることで、手縫いを学んできたと言いますから、現在その手縫いのスキルは神の領域。この人でないとできない、といった技術もあると言うことは以前も記述した通りです。

従って、上述したような社会的背景の変化によって、威厳のあるスーツから、よりファッション性が高く、自分が着心地の良いスーツ、が注目されるようになったと。

そして、その着心地の良い代表的なスーツの一つである“アンコン・ジャケット”が生まれ、超絶的な手縫い技術を有する職人が多数存在するナポリが今や世界のスーツをリードするようになったというのは、こうやって流れを見てみると、良く理解できるように思います。

■ナポリスーツ(ジャケット)の魅力
さて、後編の最後は、ナポリジャケットの魅力について記述して、本テーマをしめたいと思っております。

まず最初に、私はいわゆるナポリのサルトリアが手掛けたようなス・ミズーラ(ビスポーク)のスーツやジャケットを持っているわけではございませんので、正直魅力を語れるほどの知識、経験がないことを述べておかないとなりません。

従って、以下に述べることは、あくまでナポリの職人の仕立て技術と、高性能のミシンやプレス機を効率的に組み合わせることで、その職人の技を感じることのできる既製服であるイザイア、スティレ・ラティーノ、サルトリオを自身で着用した範囲での感想であることを御承知おきくださいませ。

ナポリスーツ(ジャケット)と言った際に、真っ先にイメージされるのが、「着心地の軽さ」です。これは、使っている芯地、そして、首まわりや肩(腕)まわりといった、着心地に対して大きな影響を与える箇所が、ハンドソーンによって仕立てられている影響が大きい、と言うのが現状私が理解している範囲でのお話です。
Stile Latino(スティレ・ラティーノ )のブークレ調ウィンドペンジャケット⑤

例えて言うなら、通常のマシンメイドの既製服がスーツ(ジャケット)に対して体を合わせていくような感覚であるのに対して、要所要所にハンド仕立てを取り入れた既製服のスーツ(ジャケット)は、服の方が自分の体に合わせてフィットしてきれくれる感覚、と言うことができると思います。
ISAIA(イザイア)SAILOR ウール シルク ドネガルツイード ウィンドペーン 3Bシングルジャケット⑧

これは、マシンで縫うと縫い目が硬くなり、体に対して反発するのに対し、ハンドで縫うと、縫い目に遊びが効くことで柔らかくなり、体に対してフィットしやすくなる、とうことでしょうか。

特にこの恩恵を受けるのは、腕肩まわりです。ナポリ仕立てのスーツやジャケットの特徴として、小さく、高い位置に設定されたアームホールというのがあります。これは実際に着てみると、カマといわれる脇下部分が高いことに気付くはずです。

例えばアームホールが大きく、脇より下に広がっている場合、腕を前に出すだけで、生地がひっぱられることになるわけですから、腕が上げにくくなりますね。これがアームホールを小さくしてより腕の太さに近く、高い位置に設定すると、腕と袖とが限りなく一体化するわけですから、腕が動きやすくなるわけです。

この時重要なのが、袖付けをハンドで仕上げていることなんです。マシンで仕上げると、どうしても縫い目が硬く、腕を動かした際に、体にあたって気になるのですが、ハンド仕上げをしていると適度に遊びが効いているので、しなやかに腕の稼働にあわせて生地が動いてくれるわけですね。

更にマニカカミーチャといって、肩パッドを用いずに生地を多くイセ込み、ギャザーをつくることで稼働領域を広げるといった製法を取り入れることで、より快適な腕の稼働を実現することになります。
Stile Latino(スティレ・ラティーノ )のブークレ調ウィンドペンジャケット⑧

また、「着心地の良さ」以外にすごいな、と個人的に魅力を感じていることが、その「立体的なフォルム」です。ナポリのスーツやジャケットは、パッドや芯地、中には裏地までもを極力省くことで、より軽くて、快適な着心地を実現しているのですが、パッドや芯地、裏地というのは立体的なフォルムを成型、維持する役割があるわけです。
ISAIA(イザイア) SAILOR_ビジネススタイル①

では、これらの立体的なフォルムを造り出す副資材を省いて、どのように立体感を出すのか、というと、代々受け継がれ、ブラッシュアップされてきたパターン(裁断)はあるにしても、アイロンワーク(クセ取り)や高い縫製技術と言った職人技のみでそれらを実現しているわけです。

ナポリスーツやジャケットは、そもそも釦を留めること前提にはつくられていないんだ、なんてお話を聞いたことがありますが、パッドなどを使わずに立体的なフォルムを感じる最も良い方法の一つが、ジャケットを羽織って釦を留めないことだと思っています。

釦を留めないと、ジャケット本来が持っているフォルムが良く表れる気がしてるのですが、ラペルのロールの美しさやチェストから、ウエストにかけての体へのフィット感が、全然違って見えるのです。これには本当に驚きました。下記はラティーノのジャケットですが、ロールが美しく返っている様子や、釦を留めずして、綺麗にウエストが絞り込まれている感じがお分り頂けるかなと思います。
Stile Latino(スティレ・ラティーノ )のブークレ調ウィンドペンジャケット_ドレスコーデ⑤

そして、最後の魅力はなんといっても「独特の柔らかい雰囲気」です。
こればかりは感性の問題が色濃くでますので、好みということもあるのだと思いますが、職人のハンド仕立てを取り入れたナポリスーツやジャケットというのは、ブリティッシュ・スーツとはまた異なる、独特の柔らかい雰囲気があります。
Sartorio(サルトリオ)ウール×アンゴラ グレンチェックシングルジャケット⑤

ブリティッシュ・スーツのように、威厳があり、力強い男性像を想起させる雰囲気があるわけではないですし、縫い目が寸分違わず整っていて、シワが一切ない、工業製品のようなフォルムであるわけではないのですが、人の手によって仕立てられたぬくもりと、独特の不均衡の美の魅力が、どうも私は好きみたいなんですね。(笑)

ということで、私が感じているナポリスーツ(ジャケット)の魅力は、快適な「着心地の軽さ」と、体に自然とそう「立体的なフォルム」、そしてハンド仕立てならではの不均衡の美を要する「独特の柔らかい雰囲気」である、と言うことができるのだと思います。

■最後に・・・
最近は、イタリアのナポリにおける仕立て文化も曲がり角にきていると言われております。これには、いくつか理由があるようですが、平たく言えば、職人が極端に減ってきているということに尽きるのだと。

現在素晴らしい技術をもつ現役の職人さんたちは70歳を超える高齢であることはざらだそうで、その方々が引退すると、後を継ぐ若い職人が不在なのだとか。

齢一ケタの頃から修業をしだして、稼げるようになるまでは相当の時間を要すると言います。すると、そんな苦労をしてまでやろうとは思わない、と言うのが若い職人がいない要因の一つにはあるのだとか。それはもっともな理由なのかもしれませんね。

とは言え、今後10年、20年という単位で見た時に、本当のナポリスーツ(ジャケット)が残っているのか、と言うと、以前記載した日本の伝統工芸品の職人がいなくなっているのと同様に、明るい未来が見えるわけではないのかもしれません。

私自身がその状況を打開する術を持っているわけではございませんが、少しでもナポリスーツ(ジャケット)の魅力をこのような形で表現し、興味を持って頂ける方が増えたらよいなと思っております。

ということで、全2回に渡ってお送りした「ナポリを着て死ね!?」は以上となります。
ある程度事実関係等に誤りがないように注意したつもりですが、いかんせん未熟なため、誤りがあるかもしれません。その際は、ご指摘頂ければ修正致しますので、ご連絡頂ければ幸いです。

長文をお読み頂き、ありがとうございました!









Comment

elnegro says... ""
ナポリのスーツ(ジャケット)、着たいですね〜。

先日バイリクエストで丸の内に行った際にラティーノやペトリロを試着してきました。
ラティーノの肩への乗り方は本当に凄いですね、今はとても買えないのにグラッときてしまいました。(汗)
ただこの時期に残っているところを見ると、値段が上がり過ぎたのかもしれませんね。

その点ペトリロの方が現実的でしょうか。
ペトリロのスーツを試着しにアルバーノさんに行きたいです。。
2015.05.07 20:31 | URL | #- [edit]
rm55 says... "Re: タイトルなし"
>elnegroさん
こんにちは。いつもコメントありがとうござます!

ラティーノご試着されましたかっ!人気なだけあって、イイですよね~^^確かにロブさんをいかれた後ですと、キツイですが、一回着てしまうと病みつきになるので注意が必要です。笑。

ペトリロは、あの価格帯としては非常に優秀な着心地かと思いますし、現実的ですよね。シャロンさんにも、雰囲気がかなり良いコットンソラーロのスーツがありましたが、12万円という価格からか、瞬殺でなくなっておりました。。試着した際はかなり惹かれたのですけれどね。

アルバーノさんはペトリロの種類が豊富そうなので、是非富山への買い物旅に行きましょう!笑。
2015.05.07 23:52 | URL | #- [edit]

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