fc2ブログ
<?php include_once("analyticstracking.php") ?>

Think Elegant !

ファッションを通して自らの人生と向き合い、美しいと感じるスタイルを追及するブログです。

珍しいヴィンテージ生地を用いたビスポークジャケット By サルトリア・ソリート

こんにちは!
本日は「珍しいヴィンテージ生地を用いたビスポークジャケット By サルトリア・ソリート」と言うテーマでお送りしたいと思います。

それでは、まいりましょう。

■怒涛の納品ラッシュ
2019年末に始まった世界規模のパンデミックであるコロナ禍ですが、早くも始ってから3年が経過しようとしています。

肝心の新型コロナウィルスはこれまでのウィルスの歴史が証明しているように弱毒化し、今では季節性インフルエンザの致死率と同程度になったとも言われています。もちろん今でもその起源は分からず、人によっては後遺症が長く継続するなど、決して軽視しても良い存在になったとは言い難い部分がありますが、それでも世界は「With コロナ」と言うことで、新型コロナウィルスとの共存の道を選んだと言いますか、選ばざるを得ない状況にあるように思います。

このような中で、メンズクラシックウェアの世界も「with コロナ」時代における新たな枠組みによる動きも一部では見られるようです。

私がお世話になっている北参道にあるSharonさんにおいて定期的に開催されていたサルトリア・ソリートのトランクショーも昨年から再開し、数年ぶりにルイジ・ソリート氏と対面。コロナ前にオーダーをしていたアイテムが続々と納品され始めました。

今後はこれまでの頻度での開催は難しいかもしれないと言うお話もありましたが、それでも、今まで通りの”オンサイト形式”での開催を検討頂いている模様です。

これに対して、中にはトランクショーの形式事態を見直し、Zoom等で海外のサルトや職人とを繋いで”オンライン形式”で開催しているショップなどもあると聞きますが、やはりフィッターが実際の目で見て、手で触りながら確認をするのと、画面越しでフィッティングを確認するのとでは大きな違いがあるように思います。更に、職人さんと実際に対面してコミュニケーションを楽しむこともビスポークの醍醐味の1つですから、古い価値観なのかもしれませんが、個人的にはこれまでのトランクショーのスタイルが継続されることを願っているうちの1人です。

このような中で、昨年末に11月に開催されたサルトリア・ソリートのトランクショーにおいて、ジャケットの納品がありました。
ソリート_ビスポークジャケット2022AW

昨年再開されたトランクショーですが、このジャケットで既に3着目・・・。まだコロナ前にオーダーしているスーツが1着残っているのですが、怒涛の納品ラッシュになっています。

■ヴィンテージ生地の醍醐味を堪能できるスポーツジャケットが納品。そしてデビュー。
今回納品を頂いたのは、BRAYDON THOMPSONと言う聞きなれないメーカーのヴィンテージ フランネル生地。ウール87%×カシミア5%×ミンク5%×チンチラ3%と言う珍しい混率です。
ウール_ミンク_カシミア_チンチラ_1

ベージュ×オフホワイト×ダークブラウンベースのハウンドトゥース柄ですが、よく見るとグリーンも配色されており、かなり凝った柄になっている点にビジュアル上の特徴があり、
ウール_ミンク_カシミア_チンチラ_2

また、昔ながらの低速の織機で織られているために目の詰まったコシ、ハリ感がありますが、触った感じはガシガシ感のない、ふわっとした柔らかさがある点が魅力的。こちらはルイジソリート氏の持ち生地ではなく、確かSharonさんが独自に仕入れた生地であったように記憶しています。
ウール_ミンク_カシミア_チンチラ_3

ヴィンテージ生地と言うと聞こえは良いですが、現在入手することの出来るヴィンテージ生地の多くは当時の売れ残りだったりするわけです。それでも生産効率を追い求めた現在のミルでは”生産することの出来ない”ような手間暇のかかった色、柄、質感の生地であると言う点こそ、ヴィンテージ生地の最も大きな魅力だと感じています。

私は生地マニアではないですし、ヴィンテージ生地信仰者でもありませんが、お金を出せば必ず購入できると言ったものではない、こういった着分限定のヴィンテージ生地との出会いはまさに”ご縁”。よって自分のスタイルや感性に響いたものであれば、お迎えするのはビスポーク好きならではの性なのかもしれません。

そんなヴィンテージならではの魅力が詰まった生地を用いて仕立てて頂いたのは、私のジャケパンスタイルにおける王道の仕様である、2パッチバルカの3つボタン段返りのスポーツジャケットです。

昨年のクリスマスに”銀ブラ”をした際にデビュー。
ソリート_ビスポークジャケット2022AW_5

このAWのお気に入りのカジュアルスタイリングである、ハイゲージのタートルネックの上に厚みのあるフランネルシャツを着るという、ややジャケットに負荷のかかる着方をしました。秋冬用のジャケットはニットを入れることを前提としたフィッティングに仕上げて頂いているので、さすがに快適なフィッティングとまでは言えませんが(笑)、なんとか着ることが出来ました。
ソリート_ビスポークジャケット2022AW_2

最近のオフスタイルの際には、リラックス感を感じる、ガチのクラシックではないユルさのあるスタイリングが気に入っています。よって着用アイテムだけではなく、着こなしもそんな自らの気分を反映したスタイリングを意識しています。
ソリート_ビスポークジャケット2022AW_1

ソリート_ビスポークジャケット2022AW_3

ちなみにコートにはサルトリア・シャロンで仕立てて頂いた、ややオーバーサイズのカシミアのダブルフェースコートを羽織ったのですが、この日は外でも暑いくらい。ちょっと着込み過ぎました。(笑)
ソリート_ビスポークジャケット2022AW_4

■ヴィンテージ生地の魅了を活かした、クラシックな着こなし
そして先日の冷え込んだ日には肉厚なフランネルがピッタリだと言うことで、よりクラシックな着こなしをしてみました。スタイリングは私の好みのエレガントな着こなしに仕上げています。

それが、こちら。
ソリート_ビスポークジャケット2022AW_ドレス3

遠目からでもハウンドトゥース柄がハッキリと認識できる大きさ、色柄なので、他のアイテムは極力シンプルにすることで、ガチャガチャ感の出ないように心掛け、色合いもベージュ×ブラウンのグラデーションカラーでまとめています。
ソリート_ビスポークジャケット2022AW_ドレス1

シャツにはホワイトを用いることでフレッシュさを前面に出しつつ、ネクタイにのみコントラストが弱いグレンチェック柄のベージュネクタイを合わせることでアクセントを付けました。
ソリート_ビスポークジャケット2022AW_ドレス4

この日はこの冬一番の冷え込みであった場所が多かったようですが、4者混のジャケットの下にはカシミアのカーディガンをまとっており、しっかりと防寒をしたおかげで寒さにも耐えうる装いになりましたょ。
ソリート_ビスポークジャケット2022AW_ドレス2

ちなみに足元にはダークブラウンカラーのスエードを用いたレベルソ仕立てのストレートチップで、シンプルかつクリーンに。
ソリート_ビスポークジャケット2022AW_ドレス6

最近はハウンドトゥース柄やチェック柄のジャケットが相次いで納品され、これまで無地が多かった私の装いにも、少しずつですが動きを感じられる着こなしになってきたように思います。

引き続き、自分の理想とする着こなしを追求、探求していきたいと思います♪





FOX BROTHERS ヴィンテージウール チェックジャケット Bespoked By Sartoria Solito

こんにちは!
本日は「FOX BROTHERS ヴィンテージウール チェックジャケット Bespoked By Sartoria Solitoと言うテーマで、先日お送りた「新境地にチャレンジし、感動したビスポークジャケット By サルトリア・ソリート」に続いて、同じタイミングで納品を頂いていたビスポークジャケットを取り上げたいと思います。

それでは、まいりましょう。

■FOX BROTHERS ヴィンテージウール チェックジャケットが納品。
先日、”新境地”と表現してご紹介をしたサルトリア・ソリートによるヴィンテージツイードを使ったビスポークジャケットですが、思った以上の反響を皆さまより頂きました。



やはりジャケットに使われている生地が、私がこれまで好んで選んできた生地とは異なるテイストであったことが大いに影響をしているのかなと。

実際、ドネガル、シェットランド、ハリスなどのカントリー調のツイード生地を得意としているW.BILLのヴィンテージウールは、私が好んで着て来たベーシックかつエレガントな風合いとは趣がかなり異なりますので、ある意味での驚きを持って捉えられた方が結構いらっしゃったようです。

ただ、ジャケットをご紹介した記事にも記載しましたように、スタイルの幅を広げるためには、それまでの自分のスタイルの殻を意識して破っていくことが必要なので、そんなチャレンジする心、ファッションを楽しむ心はまだまだ持っていたいなと思っていたりします。

そして今回ご紹介するのも、W.BILLの生地でオーダーしたトランクショーにて選定していた生地。この生地は、フランネルなどの厚手、かつイングリッシュテイストの生地を作らせたら右に出る者はいない!?と言うほど有名な、フォックスブラザーズのヴィンテージウールになります。


かなり目の詰まった生地で、そこそこの重さと硬さがある、フォックスブラザーズらしい秋冬の厚みのある生地です。色はグレーベースにブラックとネイビーの細かなチェック柄が入りますが、柄が小さく、渋い色合いのために落ち着いた印象。無地が多かった私からすると、W.BILLよりも、こちらの方が入りやすい生地ですね。(笑)


この生地も無地系のスタイルから幅を広げることを目的に選びましたが、そんな厚さと硬さのある生地を、ナポリ仕立てで柔らかく仕立てて頂く贅沢・・・。まさに、ビスポークならではの醍醐味の1つかなと思っています。

■アイテムは変わっても、スタイルは変えない。
さて、そんなFOX BROTHERS ヴィンテージウールを使ってサルトリア・ソリートにビスポークして貰ったチェックジャケットですが、個人的に大切にしていることは"アイテムが変わったとしても、自分のスタイルは変えない"と言う点です。

私はシンプルでベーシック、かつエレガントな雰囲気のスタイリングを好んでいますので、カントリーテイストの生地であったとしても、また無地ではない、カジュアルなチェック柄の生地であったとしても、自分好みのエレガントなスタイリングに仕上げていくことを常に意識しています。

ちなみにこの日はインスタグラムを通じて知ることとなったアーティスト、緒方環さんの個展が東京ミッドタウンにあるインテリアショップの「Style Meets People」さんで行われており、時間がとれればお伺いする予定にしていました。

緒方環さんは墨の濃淡だけでスタイリッシュかつ、知的な色気のある雰囲気の男女の美しい作品を描かれており、その美的価値観に共感しているので、私も普段はほぼ着ることがないブラックを多用し、グレーと合わせて墨の濃淡を意識したコーディネートでお伺いしました。
緒方環氏_SUMIGA

なお緒方さんですが、下書きなどは一切せず、描き始めたら一気に絵描きあげるそうです。私はコーディネートにおいてシルエットなどのラインの美しさをかなり意識するのですが、緒方さんの作品のシルエットはとても美しく、シルエットフェチの私にとってはドストライク。笑。是非自宅にも作品をお迎え出来たらなと夢見ています。

少し話が脱線しましたが、そんな緒方さんの作品を意識しつつ、自分好みのスタイリングに仕上げて個展に伺わせて頂きました。基本的にはブラックとグレーの2トーンスタイル。
フォックスブラザーズ_ヴィンテージウール_ビスポークジャケットbyソリート01

近くで見るとジャケットにネイビーが入っていますが、スタイルに与える影響は軽微です。そしてニットとパンツには墨を意識したブラックを合わせていますが、基本的にはチャコールなどの濃いめのグレー系か、チェックの色を拾ってダークネイビーあたりの色にしてあげると、落ち着きが良さそうです。
フォックスブラザーズ_ヴィンテージウール_ビスポークジャケットbyソリート04


もちろん靴は黒靴で。
フォックスブラザーズ_ヴィンテージウール_ビスポークジャケットbyソリート03

なお、変化をつけるのであればネクタイやニットなどに差し色的な、少し明るい色を持ってきてもまた異なった印象のスタイリングが出来ると思っています。

やはりドレッシーな無地やストライプ柄と、カジュアルなチェック柄と間には大きな違いがあるように思っています。今回は柄の大きさが小さいので好みのスタイリングは容易でしたが、柄が大きくなると、また違うアプローチでのスタイリングが必要になりそうですね。
フォックスブラザーズ_ヴィンテージウール_ビスポークジャケットbyソリート02

先日参加させて頂いたトランクショーでも、またこれまでにないような生地にチャレンジしてみましたので、進捗してきましたら、改めて取り上げてみたいと思います。




新境地にチャレンジし、感動したビスポークジャケット By サルトリア・ソリート

こんにちは!
本日は「新境地にチャレンジし、感動したビスポークジャケット By サルトリア・ソリート」と言うテーマでお送りしたいと思います。

それでは、まいりましょう。

■自分の殻を破る
日本における本格的なコロナ禍直前の2020年初頭、シャロンさんで開催されたサルトリア・ソリートのトランクショーでオーダーしていたジャケットを少し前に受け取っていました。

そして気温が下がってきた先日の週末、ようやくデビュー。



少し意外に思われた方もいらっしゃるかもしれない色、柄、雰囲気のジャケットは、自身としては”初”と言って良いほどカントリーテイストの溢れる、スポーティなジャケットでした。

このジャケット生地はトランクショーの際にルイジソリート氏が持ち込んだヴィンテージ生地のスワッチから選んだもので、W.BILLのヴィンテージツイード。少し分かりにくいのですが、グレーベースにグリーンやブラウン、ネイビーなどのハウンドトゥース(千鳥格子)柄が入る、カントリーテイストのある生地です。
サルトリアソリート_カントリーテイストジャケット_2

これまでエレガントな雰囲気の生地を選ぶことが多かった私にとってはかなり珍しいセレクトでした。2年も前のことなので若干記憶があいまいですが、それまで無地や、無地に近いジャケットが多かったので、柄物であったり、異なるテイスト、雰囲気のある生地を意識して選んだのだと思います。

そういう意味では自分の殻を破ることになる1着でしたが、スタイリングの幅を広げると言う観点においてチャレンジして良かったと思っていますし、袖を通した瞬間に鳥肌がたち、思わず笑顔が溢れるほど満足度の高いビスポークジャケットとなりました。

実際フィッティングも完璧で、ヴィンテージウールらしい目の詰まった、そこそこの重量感あるジャケットですが、羽織ってみると首筋から肩にかけて綺麗にフィットするので重さを感じることはありません。また日常生活においてジャケットに一番負荷のかかる態勢である靴ひもを結ぶ態勢も難なくこなす、仕立ての良さは相変わらず。

素晴らしい手仕事に感動し、自然と感謝の気持ちが芽生えます。

■カントリーテイストのジャケットを品良く着こなして参加したのは、サルトリア・ソリートのトランクショー!
そんなカントリーテイスト溢れるジャケットを私の好きなエレガントなスタイルに仕上げて?参加したのは、北参道にあるセレクトショップであるSharonさんにて先日開催されていた、サルトリア・ソリートのトランクショー。

デニムやチノを合わせるとカントリーテイストを感じるスタイリングになりますが、今回はフラノ素材のウールパンツを合わせて上品な着こなしをしてみました。
サルトリアソリート_カントリーテイストジャケット_1

また、カントリーテイストのジャケットにはブローギングやギンピングの施された靴を合わせたくなりますが、そこはあえてドレッシーなホールカットを合わせることでエレガントなスタイリングを貫きます。(笑)
サルトリアソリート_カントリーテイストジャケット_3

しかし、私は心からサルトリア・ソリートのスタイルが気に入っているのだなぁとつくづく思います。インスタグラムでも様々なサルトや職人さんの服を眺めていますが、ソリートを超える魅力を感じる服には出会えていません。

首から肩にかけての傾斜感やナチュラルかつ、柔らかな丸いシルエットを描くショルダーライン、襟の形状、大きさ、ボタンの位置といった極上のバランス感。
サルトリアソリート_カントリーテイストジャケット_5

そして立体的かつ美しく、優しい弧を描くドレープライン。まさに、私自身にとっての理想のスタイルがそこにはありました。
サルトリアソリート_カントリーテイストジャケット_6

今回参加させて頂いたトランクショーでも1着納品があったのですが(汗)、またまた心を揺さぶられるような、素晴らしい出来栄えに感動。


実は今回、私が予約時間を間違えて少し早めに訪問してしまったために前の時間帯の方と被ってしまい、脇で待たせて頂いたのです。その方はビキャッシュのコートをオーダーされ、納品を受けていましたが、同じく「感動したよ。」とルイージ氏に直接伝えていらっしゃいました。

自分自身の仕事を振り返ってみると、顧客の心を動かしたり、感動させられる仕事が出来ているのか?と言うと正直難しいなと。お客さんを感動させられる仕事を提供しているサルトリア・ソリートはすごいなと、改めて感じた次第です。

好きな服を着て、感動まではいかなくとも、高い満足度を与えることが出来る仕事を自分もしていこう!と改めて思うのでした。






Sartoria Naoi(サルトリア・ナオイ)/Sartoria Sharon(サルトリア・シャロン)/LA TERRA(ラ・テッラ)の合同トランクショーに参加してみた!

こんにちは!
本日は「Sartoria Naoi(サルトリア・ナオイ)/Sartoria Sharon(サルトリア・シャロン)/LA TERRA(ラ・テッラ)の合同トランクショーに参加してみた!」と言うテーマを掲げ、現在Sharonさんにて開催しているトランクショーに参加、久しぶりにオーダーをしてみましたので、こちらをご紹介したいと思います。

それでは、まいりましょう。

■サルトリア・ナオイ/サルトリア・シャロン/ラ・テッラの合同トランクショーに参加!
さて、10月21日より、私がお世話になっている北参道にあるセレクトショップ?であるSharonさんにおいて、サルトリア・ナオイ/サルトリア・シャロン/ラ・テッラの合同トランクショーが始まっています。

それぞれ簡単にご紹介しておきますと、サルトリア・ナオイとは、職人であり、Sharonのクリエイティブ・ディレクターも務める直井茂明氏ご自身のブランド。私も昔、スーツやコートを仕立てて頂いたことがありますが、その頃とはスタイルもだいぶ変わり、
私の理解ではフィレンツェスタイルをベースとしたクラシックなスタイルが特徴的です。



恐らく日本人の職人さんの中ではトップレベルのバックオーダーを抱えており、オーダーをいれても納品迄には1年半~2年程度はかかると思われます。

最近では様々な職人さんが独立し、オーダーをとっていますが、直井氏のように自らが全ての工程を手掛けている職人さんは実はそれほど多くはなく、作業を外注に出している方が結構います。外注を使う理由は様々で、自分では仕立てることが出来ない工程を外に出す場合もありますし、オーダー着数を増やし、売上を増やす目的で外注を利用する場合もあります。よって直井氏のスタイルが好み、かつ職人さん本人の手作業をたっぷりと堪能したい方には特におススメ。

なお、誤解のないように申し添えますと、外注に出すこと自体は悪いことではなく、納品時のクオリティ・コントロールがしっかりとなされていれば、特に気にしなくても大きな問題はないと、個人的には思っています。

ちなみに、ファッション・ディレクターのジーン・クレールさんも顧客だったりしますので、気になる方はジーンさんの直井氏に対する感想もチェックさてみてください。
※ジーンさん記載の記事は、コチラ

これに対してサルトリア・シャロンは、フィッティングやカッティングは直井氏が行っていますが、縫製自体は外注化することで求めやすい価格かつ、短納期(1~2カ月ほど)を実現している点がポイントです。


サルトリア・シャロンは”手縫いのパターン・オーダー”と説明されていますが、私からすると一般的なパターンオーダーの範疇を超えた調整がなされていますので、パターン・オーダー以上、ビスポーク未満と言うのが私の理解です。

なお、ビスポークとパターンオーダーの違いは、ベースパターンの有無です。ビスポークは顧客の体形から型紙をゼロから起こすのに対して、パターンオーダーはベースの型紙が存在し、そこから顧客の体形に合わせてパターン修正を加えていきます。

ビスポークと称している方の中にも型紙を修正している方がいますが、厳密に言うと、それはビスポークではなく、パターンオーダーになります。

そんな”パターン・オーダー以上、ビスポーク未満”ながら良心的な価格かつ短納期のサルトリアシャロンのスタイルは、やや構築的でフィレンツェよりのスタイルの「01モデル」と、よりソフトでナポリよりのスタイルの「02モデル」があります。ちなみに、私は両方仕立て頂いたことがあります。

以下が「01モデル」。ゴージラインの角度やラペルの表情、そしてやや構築的な肩のラインなどに、フィレンツェっぽい雰囲気を感じることが出来ます。


一方、よりナポリよりのスタイルの「02モデル」が下記のジャケット。だいぶ昔に仕立てて頂いた初期の頃のモデルで、ウール×シルク×リネンかつ結構着込んでいますので毛玉なども出来ていますが、未だに現役で活躍してくれています。ゴージラインの角度やダーツの入り方、ショルダーラインなどが「01モデル」とは異なることが分かりますね。


そして最後のラテッラは、ニューノーマルなライフスタイルに合わせて新開発されたリラックス感と大人のチャーミングさを意識したラインで、ここ最近のトランクショーでは最も人気のあるスタイルだそうです。


私が昨年オーダーしたダブルフェイスのカシミアコートのような、程良いリラックス感とチャーミングさがありますが、化繊混生地やミシン縫いではなく、ビスポークスーツを仕立てることが出来る技量を持つ職人さんが1着1着手縫いで仕立てていると言うのが最大のポイントです。


そいう言う意味では、サルトリア・シャロンのスーツやジャケットに比べると価格こそ控えめながら、カジュアルよりのアイテムを手縫いで仕立てると言う意味では、かなり贅沢なラインがラテッラと言えるのかもしれません。

最近は盛夏シーズンにはTシャツにジャケットを羽織るようなスタイルが流行っていますが、巷にあふれている化繊混のイージージャケットだと大人が着るには安っぽくなりすぎるし、だからと言ってクラシックなスーツやジャケットにTシャツを合わせてしまうと、スタイルとして崩壊してしまうと感じる感性を持っている方にとっては最適な1着。

ラテッラの雰囲気が気に入った方は色違いやモデル違いで複数オーダーされる方が非常に多いと伺いましたが、このスタイルを手縫いでやっているブランドは世界広しといえどもラテッラのみなので、ハマる人はハマるのだと思います。

クラシックなドレススタイルが好きな私も、今年の夏は暑さに負けてノージャケット、ノータイのカジュアルスタイルが圧倒的に多かったのですが、もしかしたら来年の夏にはラテッラのコンフォートジャケットを着ているかもしれません。(笑)

■オーダーしたのは、サルトリア・シャロンのパンツ
このような中で、私が久しぶりにオーダーしたのはサルトリア・シャロンのドレス・パンツになります。

実はサルトリア・ソリートにて仕立てて頂いていた秋冬ジャケットが納品されているのですが、これまでの私の持っているジャケットとは異なる雰囲気の生地を選んでいましたので、よりフィットするパンツを合わせたいなと言うことでオーダーすることに致しました。

今回選んだ生地は、ウィリアムビルのキャバルリーツイルのグレージュカラー。
ウィリアムビル_キャバルリーツイル1

実は以前もミドルグレーカラーの同じ生地でパンツを仕立てて頂いたのですが、かなり使い勝手が良いのです。その第1の特徴は、ハリとコシによって皺が出来にくく、クリースラインがかなり綺麗に表現されること。

そして第2の特徴としては、程よい光沢感によってエレガントな雰囲気が醸し出される点。生地にハリ感があるために光沢感もかなり綺麗に出るので、上品さがあるのです。秋冬のパンツ生地としても、個人的にはかなりおススメ。
ウィリアムビル_キャバルリーツイル2

実は納品されたジャケットがカントリーテイストの雰囲気が強いため、バランスをとってクリーンさのある生地を選ぶことで、スタイル全体としての野暮ったさをとり、私好みのスタイルに仕上げるための選択でもありました。
ウィリアムビル_キャバルリーツイル3

恐らく1か月~2か月くらいでは仕上がると思いますので、新作ジャケットに合わせて楽しみたいと思っています。

クラシックなドレススタイルをビスポークで仕上げることも出来ますし、マシンメイドでは表現することの出来ない、手縫いの良さをしっかりと残しながらも、こなれたプライスと納期で仕上げることも出来る。更に、より時代性を意識した大人のためのリラックススタイルも選ぶことが出来る、好みのスタイルに合わせた選択肢の豊富な合同トランクショー。

気になる方は是非、訪問されてみてはいかがでしょうか!?





クラシックを再解釈。Sartoria Sharon によるカシミア ダブルフェイス アルスターコートが納品!

こんにちは!
本日は「クラシックを再解釈。Sartoria Sharon によるカシミア ダブルフェイス アルスターコートが納品!」と言うテーマで、先日納品を頂きました、Sartoria Sharon のアルスターコートをご紹介したいと思います。

それでは、まいりましょう!

■クリエイティブディレクターたる所以
実は私、昨年11月12日から14日にかけて開催されたSartoria Naoi / Sartoria Sharonのトランクショーにおいて、新たな商品として企画されていた、"Sartoria Sharonのカシミア ダブルフェイス アルスターコート"をオーダーしておりました。正直まったくオーダーするつもりはなかったのですが、店内に掛けられていたコートの何とも言えない柔らかな雰囲気に魅了され、試しに着てみた結果、気付いたらオーダーをしている自分がおりました。(笑)
SartoriaSharon_カシミア_ダブルフェイス_アルスターコート_1

ちなみに今回のサルトリアシャロンによるカシミアのダブルフェイス アルスターコートですが、自分の中での固定観念、既成概念が大きく揺さぶられる結果となったことを、まずは告白しておきたいと思います。


まず、そもそもSartoria Sharonによるカシミアのダブルフェイスを用いたアルスターコートの特徴は、『副資材は「ボタン」と「糸」のみ。究極の柔らかさと手縫い本来のアジを感じ』ることが出来る点にあると、公式HP(※)の中で謳われています。
※「新しい生活様式を見据えた至極の大人用コート Sartoria Sharon

実際、着心地もビジュアルのそれを裏切らず、軽く、驚くほど柔らかい。コートと言うよりも、公式HPにも記載のある、”ブランケットを羽織っている”感覚に近いような驚くほどの心地良さがありました。

それはカシミア100%の生地による柔らかさと手縫いならではのソフトな仕立てに加えて、芯地や裏地などの副資材が使われていないことによって実現しているのだと思うのですが、個人的に驚いたことが、ハンガーにかかっている状態でも驚くような美しいナチュラルなドレープ感が出ている点。

一般的に、服の立体感と言うのはキャンバス芯などの芯材、副資材を使うことで実現していくものだと思うのですが、サルトリア・シャロンのコートは、そう言った副資材無しに、これを実現しておりました。

そのような軽くて柔らかい、まるでブランケットのようなコートが企画された背景には、時代の変化があると言います。

ビジネスマンの誰もがスーツを着てネクタイを締めると言うビジネススタイルは過去のものとなり、ビジネスウェアのカジュアル化はコロナ禍によって更に進行。今後もその大きな流れは止まることはないと思われます。

このような中でファストファッションではなく、化繊素材を使ったスポーティウェアでもない、それでも大人の男性がリラックスして着用することのできるコートとして考案されたのが、今回のコートになるわけです。
※これまでのクラシックなコートを否定するのではなく、新たな選択肢としての提案

私が普段着用しているような手縫いのスーツやジャケットに合わせることで、よりリラックスした表情をつくることも出来ますし、ノーネクタイのビジネスカジュアルスタイルや、ジャケットにタートルネックを合わせるような、よりカジュアルなスタイリングにばっちりとハマる。それでいて、しっかりと大人っぽい雰囲気を醸し出すことが出来ると言う点が新しい。

クリエイティブディレクター。

最近よく耳にする言葉の1つです。”クリエイティブ”ディレクターとは、決して既存のアイテムに対して、色や素材を変えたり、パターンの一部を変えて商品を企画することが本来の仕事ではないはずです。時代、社会の流れ、変化に対して新しいスタイル、ファッションを提案していくことこそ、本来クリエイティブディレクターが生み出す、最大の価値ではないでしょうか。

Sharonオーナーであり、プロデューサー的ポジションでもあるK氏、そして仕立て職人であり、サルトリアシャロンのクリエイティブディレクターである直井茂明氏が新たに生み出した、クラシックなドレスウェアを好む大人のためのカシミア ダブルフェイス アルスターコートは、数年後に時代の転換点における名作だったよね、と語られることになるのではないか、と大げさながら個人的には思っていたりします。

以前ご紹介をしたSharonオリジナルのブランドであるラテッラのスエードブーツ(※)もそうでしたが、何かを真似たり、トレースするのではなく、独自のフィルターを通して新たな付加価値をつけた商品を生み出し、提案をする。そんなとことろに、服好きとしてドキドキ、ワクワクしてしまう自分がいたりします。
※「LA TERRA(ラ テッラ) By イル・クアドリフォーリオ のスエードブーツが快適すぎた!

そのような新しい価値、スタイルを提案するSharonさんの今後の展開には目が離せないですし、もしかしたら今年の秋冬や来年あたりには、ラテッラのスエードブーツやサルトリアシャロンの副資材を使わない手縫いのアルスターコートに似た商品が、他のブランドから登場することもあるかもしれませんね。

■クラシックを再解釈:Sartoria Sharon によるカシミア ダブルフェイス アルスターコート
さて、今回私が選んだ生地は、密な毛羽としなやかさに加えて、上品な光沢感を有するカシミア100%のダブルフェイス(目付は640g)になります。色はグレージュカラー。サンプルゲージに使われていたキャメルカラー(ヴィキューナカラー)も魅力的だったのですが、よりナチュラルな色合いと、1着分しかないと言う点に惹かれ(笑)、こちらを選びました。
SartoriaSharon_カシミア_ダブルフェイス_アルスターコート_2

そして納品されたサルトリアシャロンのカシミア ダブルフェイルのアルスターコートがこちらです。何とも言えない優しく、エレガントなグレージュカラー。力が程良く抜けた、リラックスしたシルエット。
SartoriaSharon_カシミア_ダブルフェイス_アルスターコート_3

直井氏が工房まで行って職人さんに縫い方を指導することで実現した、不均衡の美を有するステッチ。
SartoriaSharon_カシミア_ダブルフェイス_アルスターコート_8

アルスターコートの襟型。クリエイティブディレクターであり、カッティング(パターンメイキング)を務める直井氏のスタイルが良く表れている襟の表情です。
SartoriaSharon_カシミア_ダブルフェイス_アルスターコート_12

ボタンと糸以外の副資材は一切使われておらず、もちろん形を整える芯材も使われていなのですが、このシルエット。好きな方にはたまらない表情かと思います。(笑)
SartoriaSharon_カシミア_ダブルフェイス_アルスターコート_4

このような美しいドレープ感が出せるのも、ダブルフェイスのカシミア生地の柔らかさ、そしてアイロンワークと甘く縫うことの出来る手縫い技術、そして副資材が一切使われないことによる賜物。
SartoriaSharon_カシミア_ダブルフェイス_アルスターコート_5

袖にはボタンがつかず、よりリラックスしたコートであることが表現されています。
SartoriaSharon_カシミア_ダブルフェイス_アルスターコート_6

肩ひじ張らず、ウエストを絞り込むこともないAラインの、”ゆるい”シルエット。この辺りまでくると、このコートが持っている本質的価値に気付き始めた読者様もいらっしゃるかもしれませんね。
SartoriaSharon_カシミア_ダブルフェイス_アルスターコート_7

ダブルフェイスのため、インナーにもカシミアが表れているのがとても贅沢。
SartoriaSharon_カシミア_ダブルフェイス_アルスターコート_9

そして芯材が入っていない、柔らかい襟。ここは、このコートの着用時における肝となるポイントです。
SartoriaSharon_カシミア_ダブルフェイス_アルスターコート_10

ご存知の方も多いと思いますが、ダブルフェイスの生地は通常と仕立て方が異なりますので、量産品ともなると、ダブルフェイスを扱うの専門技術を有するファクトリーが担当することが多い生地の1つです。特に仕立てにおいて手間、暇がかかるポイントが、この裾の処理。
SartoriaSharon_カシミア_ダブルフェイス_アルスターコート_11

ダブルフェイスはその名の通り、生地を2枚重ね合わせることで成立しています。実際、今回は640gのカシミア生地なので、320gのカシミア生地が2枚重ね合わさることで出来ています。これは特殊な機械を用いて下記の写真のように2枚の生地が縫い合わせれているのですが、裾の処理は2枚の生地を一旦剥がして、内側に縫い込むように整形していきます。
SartoriaSharon_カシミア_ダブルフェイス_アルスターコート_18

ダブルフェイスなので、2枚分の生地量を使いながら仕立てにおいても手間と暇がかかっている、非常にラグジュアリーなコートがカシミアのダブルフェイスのコートなのですが、これを今回のようなリラックスした仕立てにすること自体がとても贅沢なことだと思っています。

ただ、私が冒頭にて「自分の中での固定観念、既成概念が大きく揺さぶられる結果となった」と記載したのは、カシミアのダブルフェイス生地を用いているからであるとか、ボタンと糸以外の副資材を一切使っていないからであるとか、手縫いだからと言うことではありません。

私が上記のように記載した理由は、これまでのクラシックウェア、ビスポークと言う世界観を新たに現代の価値観、空気感でもって再解釈したコートだと感じたからです。

これまでの画像や、下記画像からもお分かり頂けると思いますが、肩幅が広く、落ちている点や、Aラインであることから、あえて"身体に沿うようなシルエットになっていない"点こそ、このコート最大のポイントだと思うのです。
SartoriaSharon_カシミア_ダブルフェイス_アルスターコート_14

英国で生まれたメンズクラシックウェアの世界におけるビスポークの基本は、その人の身体に合わせてスーツを仕立てること。肩幅を合わせることはもちろん、身体のサイズに合わせて、それぞれのテーラーやサルト、職人が考える理想の男性像を、スタイルと言う形で表現をする。例えば肩を広くとり、ウエストを絞ることで逆三角形の上半身を強調し、力強い男性像を表現したり、またはサルトリア・ソリートのように、ショルダーラインはナチュラルにとりつつも、ボリュームあるバストによって色気を出すアプローチ等、様々。

しかし、どんなスタイルであれ、基本はその人の体型、サイズに合わせること。

ところが今回のサルトリアシャロンのアルスターコートは、誤解を恐れずにいえば、そうはなっていないのです。着心地と言う意味では、首筋にしっかりとフィットさせることでコートの重量を支え、コートが身体からブレることのないポイントを作るのですが、肩を落とし気味につくり、Aラインとすることでウエストを絞らない、身体に沿わせないスタイルは、メンズクラシックウェアのオーダーアイテムとしては、これまでなかった在り方ではないでしょうか。
SartoriaSharon_カシミア_ダブルフェイス_アルスターコート_16

これを化繊やマシンではなく、手縫いのパターンオーダーかつ、ダブルフェイスのカシミア生地を使って表現することで、クラシックウェアが好きな大人が大人っぽさを失うことなく、カジュアルに、リラックスした表情を持って着用することが出来るのです。

恐らく、ビスポークの歴史が長く、本場であるイギリスやイタリアでは発想することの出来ない、日本人だからこそ出来た提案ではないでしょうか。

時代や価値観が変化していく以上、何かを維持するためには立ち止まったままではなく、自らも変化をしていく必要があると思っています。そう言う意味では、そんな社会の変化、価値観の変化を上手く取り込み、"クラシックをSharonと言うフィルターを通して再解釈する"ことで生み出されたのが、Sartoria Sharon によるカシミア ダブルフェイス アルスターコートである、と言うことが出来そうです。
SartoriaSharon_カシミア_ダブルフェイス_アルスターコート_17

今月18日から開催予定のサルトリア・ナオイ/サルトリア・シャロンのトランクショー(※)では、本コートに春夏用の生地を載せた新たな提案もなされる予定と伺いましたので、気になる方は是非、お問い合わせされてみてはいかがでしょうかっ!?
※「<Sartoria Naoi・Sartoria Sharon>トランクショーのご案内

是非、Sharonと言うクリエイティブディレクターが新しい時代に提案する、"クラシックを再解釈"したメンズクラシックウェアを堪能されてみてください。