Sartoria Solito(サルトリア・ソリート)のSUPER150'S シングル3Bスーツを購入!(後編):Solito house exclusive per Sharon
こんにちは!
本日は、この2017年SSに購入した大物アイテムである、Sartoria Solito(サルトリア・ソリート)のSUPER150'S シングル3Bスーツのご紹介記事の後編と言うことで、購入したスーツのディティールや前編の最後で触れました、私が”感動した”理由などをお送り出来ればと思います。
それでは、まいりましょう。
■一見すると外見は一緒。でも、中身は別物。
さて、Sharonさんでソリートの取扱が始まった2016年SSのファーストシーズンから1年が経過した2017SSですが、ヴィジュアル面における大きな変化はあまり無いように思います。
Sharonさんのエクスクルーシブモデルである「Solito house exclusive per Sharon」のベースとなっているスタイルは父であるジェンナーロ・ソリート氏ではなく、息子であるルイージ・ソリート氏の持っているスタイル。ジェンナーロ氏とルイージ氏の持つスタイルでは、若干ゴージラインの雰囲気が異なります。それでも、どちらにしてもベーシックなスタイルであることには変わりはありません。
「Solito house exclusive per Sharon」では、ラペルがややワイドになっている程度で、その他のヴィジュアル的なディティールはサルトリア・ソリートの持っているハウススタイルを踏襲しております。
ラペルが返る位置やロールの仕方。ラペルからフロントカットに繋がっていくラインは、私が好きなもう1つのサルトであるサルトリア・ナオイ(直井茂明氏)の持つ美意識とは異なります。私はソリートに対して「ザ・ベーシック」以外の言葉が見つからないのですが、この「ベーシックの中に美を見出す」と言うのは結構難しいようにも思っておりますので、そのあたりが魅力の1つでしょうか。
また、ラペルの雰囲気とともに個人的に気に入っているのが、このナチュラルなショルダー。シャマットのような唯一無二のスタイルを表現するショルダーでもなければ、サルトリア・ナオイのように体の動きやすさを追求するための機能美とも違う、独特の美しさがあるように感じております。
「美というのは、すでに存在しているものであるが、やはりそれは誰かによって見出されるものである。」
と言ったのは、日本の哲学者である梅原猛氏ですが、一見すると見逃してしまいそうな、この普通過ぎるショルダーの作り方にも”美は確実に存在している”ように感じており、私としましては、まさにそこに”美しさを見出している”のです。(笑)
フロントのダーツはフロントポケットを貫通して抜けていきます。シルエットもそうですが、生地の表面に表れてくるダーツなどのラインもヴィジュアル的に大きな影響を与える要素の1つだと思っております。そう言う意味では、ソリートのフロントダーツは服を体に沿わせるように立体化すると言う目的の達成はもちろんですが、男性らしいボディラインとして魅せる効果も担っているようにさえ感じます。
一見すると太いように見える腕周りですが、人体が中に入りますと不思議とバランス良く見えます。実際袖口はそれなりに絞られておりますので野暮ったさはなく、むしろ豊かなチェスト周りとのバランスでみるとちょうど良いのです。
ただ、これまで見てきたビジュアル的なディティールは、冒頭に記載しましたようにファーストシーズンからの変化は無いと思います。それこそ、ジェンナーロ・ソリート氏ご自身はサルトの中でも最高位に位置するサルト・フィニートであり、この道60年以上のご経験をお持ちの方でありますから、サルトリア・ソリートのスタイルとしては既に完成されていると考えるべきかもしれません。
そのような中で、この2017年SSで最も大きな”進化”があったのが、肩、腕周りの造りです。ファーストシーズンのモノと比較しますと、”着心地が劇的に良くなっている”ように私は感じました。プロがその変化に気付いたのではなく、素人の私でさえその変化に気付くくらいですから、これは相当な変化(進化)だと思います。
特に変わったのは、肩、腕周りの運動性の大幅な向上。ファーストシーズンでも十分満足出来るレベルを有していたのですが、この2017年SSシーズンでは、袖を通して肩、腕を動かした瞬間に「これはス・ミズーラ!?」と勘違いしてしまう程の”感動的な着心地の良さ”がありました。
その進化の具合に驚き、オーナーのK氏にお伺いしてみますと、やっぱりパターン等に修正を加えておりました。背幅を若干調整したり、脇下にあたるカマの位置や角度など、顧客からの声を踏まえた着心地の改善に加えて、日本人体型に合わせて前肩仕様を強めると言った調整、更にはたすきジワを出にくくするなどの修正を行ったとのこと。
正直私の知識レベルでは、修正の方法や効果がイメージ出来るものと出来ないものがございました。ただ、例え「理論」では分からなくとも、「感覚」でその変化を十分体感出来るほどの変化があったことに大変驚くとともに、感嘆した次第です。
今回私がK氏にお伺いしなければ、「パターン等の細かい修正を施した」と言うお話は伺えなかったと思っております。
顧客から見えないところに時間と労力をかけ、より良いものを提供すべく努力をする。この姿勢は私自身非常に学ぶべきものがありますし、自分自身のビジネスでも実践すべきだと強く感じた次第です。
と言うことで、外見はファーストシーズンから大きな変化はないものの、中身は別物と評しても良いくらいに劇的に進化していた「Solito house exclusive per Sharon」。スタイルがお好きであれば、2017年SSモデルは間違いなく「買い」だと個人的には強く確信した次第です。
■その他のディティールなど
なお、今回の生地はサルトリア・ソリートがお気に入りであると言う、ロロピアーナの代表的なファブリックである「タスマニアン」から、平均16ミクロン以下の細さのウール原毛を100%使用したSUPER150'S を使用しています。
生地を見た瞬間に、上質でエレガントな光沢感を有している事に加えて、しっとり、もっちりとした触り心地に一目ぼれ。
ファーストシーズンで購入したSUPER160'Sのネイビーソリッドのスーツは、若干艶感が気になる瞬間と言うのが無いわけでは無いのですが、今回購入致しましたSUPER150'Sは絶妙な光沢感で、より使いやすい印象を個人的には持ちました。
また、ジャケットの組下となるパンツの縫製は本Blogの読者様であればお馴染みの!?手縫いのパンツであるLe Spade(レスパーデ:※)を仕立てているパスクワーレ・モーラ・テイラーによるもの。
※
「Le Spade(レ・スパーデ) ノープリーツ トロピカル・ウールパンツを購入!」
「アイテムとしてのパンツを再評価する!:Le Spade(レ・スパーデ) ノープリーツ トロピカル・ウールパンツ」
ただ、1本あたりの工賃の違い等に起因して、Le Spadeとは縫製の質などが明らかに異なります。(汗・笑)ステッチのラインやホールの処理など、かなり綺麗に造ってありますね。
このレベルでLe Spadeもやって貰いたい!と思う反面、そうすると生地にもよりますが日本円で7万、8万円と言う、日本人の職人さんによるパンツのス・ミズーラが出来てしまう程の価格になってしまうと思われます。。Le SpadeにはLe Spadeの良さがあり、あの価格で手縫いのパンツが手に入ることはまずないと思いますので、そのあたりは”使い分け”が良いのかもしれませんね。
ちなみに、パンツもファーストシーズンに比べると、シルエットに若干余裕を持たせるパターンに修正をしているそう。ソリートはクラシックなスタイルを有しておりますので、もともと足に張り付くような細さのパンツではないのですが、2017年SSではトレンドを程良く取り入れたシルエットになっていると理解するのが良いのかもしれません。
もちろん!?圧がかかるとウエスト部分が縫製箇所を中心が伸びるような、1世紀にも渡って受け継がれてきたモーラ家伝統の縫製技術はLe Spade同様に惜しみなく注ぎ込まれておりますから、履き心地は抜群に良いです。ナポリの著名なサルトでもパンツの縫製を外注しているサルトのほとんどがモーラかアンブロージだそうですから、クオリティの高さはお墨付きと言ったところでしょうか。
と言うことで、ファーストシーズンから着心地面を中心に大幅な進化を遂げた、2017年SSのサルトリア・ソリート(Solito house exclusive per Sharon)のスーツをご紹介致しました。
これからG.Wを過ぎると気温がどんどん上がってまいりますので、早速先日着用してみたのですが、私の所有している吊るし(既成品)の中では、最高の着心地を実現しており、かつ中庸の美を感じるソリートのスタイルにも大満足でした。
また、どこかのタイミングで着用イメージなどはご紹介出来ればと思います。