シンプルなのに華やか!?:Sartoria Solito(サルトリア・ソリート)SUPER150'S シングル3Bスーツ(Solito house exclusive per Sharon)
こんにちは!
本日は、少し前にご紹介(※)しておりました、サルトリア・ソリートのSUPER150'S シングル3Bスーツの着用イメージをお届けしたいと思います。それでは、早速まいりましょう。
※ご紹介記事
「Sartoria Solito(サルトリア・ソリート)のSUPER150'S シングル3Bスーツを購入!(前編):Solito house exclusive per Sharon」
「Sartoria Solito(サルトリア・ソリート)のSUPER150'S シングル3Bスーツを購入!(後編):Solito house exclusive per Sharon」
■Sartoria Solito(サルトリア・ソリート)のSUPER150'S シングル3Bスーツを着てみた!
まずは、正面やや下方向から撮影した画像から。サルトリア・ソリートのスタイルは既に述べてまいりましたように、紳士服の聖地たるサヴィルロウを有する英国の流れを汲んでいる、正統なクラシックなスタイル。これにナポリ仕立てを生み出したアットリーニの手法を取り入れておりますので、英国仕立てに比べますと柔らかい雰囲気を肩、ラペル周り中心に感じとることが出来ます。
また、レーベルは世界に唯一のサルトリア・ソリートの吊るし(既製品)であるSolito house exclusive per Sharon。パンツのシルエットはクラシック回帰の流れをやや反映させて、若干のゆとりを持たせております。よって、着用時に感じる印象としてはスタイリッシュや若々しさと言うよりも、大人ならではの余裕のある渋い雰囲気です。
パンツはナポリにおける伝説のパンツ職人家であるモーラ家が担当。それでもカッティングなどはジェンナーロ氏が行っており、縫製のみがモーラ家に委託されているようです。パンツはファーストシーズンから1プリーツ(アウトプリーツ)の仕様で、それは今期モデルも継承しています。
生地が柔らかいこともありますが、やはりスミズーラに比べると若干のシワなどが出ています。それでも着用感は全く問題なく、モーラならではの心地良さがあります。ちなみに、しりぐりまで手縫いでしっかりと縫製しているのは、数あるナポリのパンツ職人の中でもモーラ家ぐらいなもので、それ以外はほとんどマシンで仕上げているようですょ。
こちらは上半身のアップです。ソリートのハウススタイルに比べると、ややワイドなラペルが男らしさを演出する一方で、ナチュラルな袖付けやラペルのロール、そしてロロピアーナの艶感ある生地が男臭さをうまい具合にコントロールして、エレガントさを演出してくれているようにも感じます。
特徴が無いと言えば無い、普通なスタイルです。それでも好きな方が見ますと、肩の雰囲気やラペルの感じで一目でサルトリア・ソリートだと分かると言うあたりが、とてつもなく凄い事だと思っています。
ドレッシーな生地ですので、ディティールの仕様もドレスです。ステッチもシングルですし、バルカポケットに切りポケ(セットイン・ポケット:フラップは無し)。生地の持つ雰囲気に対して本来あるべき仕様になっていると言う、正統なスタイルを個人的には大切にしています。”はずし”や”ミックス”も好きですが、それは私が考えるエレガンスとは異なる種類のカッコ良さのように思います。
もちろん見た目のカッコ良さだけではなく、着心地もファーストシーズンに比べて大幅に進化していることは、ご紹介した際の記事に記載した通り。カマと言われる脇下もしっかりと腕に沿っておりますから、吊革を持っても脇下の生地がひっぱられることはありません。これは肩、腕の可動性(着心地)に影響してきますので、着心地の良さと言う観点で言えば、重要なポイントです。
他にも背幅を出したり、カマの角度を調整したりと細かい仕様の変更を行っており、吊るしの持つ着心地としては最高峰ではないかとさえ感じております。少なくとも私がこれまで購入、試着をしてきた中では間違いなくトップレベルですので、気になる方は店頭にてご試着をされてみてください。
■シンプルなのに華やか!?
さて、ご覧頂きましたようにサルトリア・ソリートは、シャマットのような特徴的な袖付けやアルフォンソ・シリカのように手縫い感溢れるステッチングと言った、特に目を引くようなディティールはございません。それでも、そんなソリートのスーツを着ている際に、インスタグラムで交流をさせて頂いている方から大変嬉しくなるお言葉を頂きました。それは、
「シンプルなのに華やかですね。」と言うもの。
通常「シンプル」であると言うことは、「飾り気がない」状態であったり、「地味」であることを想起させる場合も多いと思うのですが、そこに「華やか」と言う、ある意味におきましては「シンプル」とは対極的に位置するようなお言葉を頂いたことを大変嬉しく思ったのです。
なぜなら、”二律相反する要素を感じること”こそ、ソリートの魅力ではないか!?と個人的に感じていたりするからです。
ところで、ソリートはクラシックであると言いましたが、クラシックとは以前記事(※)でご紹介さしあげた落合正勝氏の定義が個人的には腹落ちしております。
『クラシックスタイルとは、昔からの伝統を受け継ぐ正統なスタイルという意味だ。昔ながらのスタイルということではない。スーツスタイルの正しいルールを継承した、時代時代を代表するスタイルである。』
※「スーツの正しい着こなし方、ご存知ですか!?:男の服装術」
サルトリア・ソリートは、その仕立ての手法においても、ヴィジュアル的なスタイルにおいても、英国に起源を持つメンズクラシックドレスウェアの正統な流れを汲んでおり、加えて、時代時代のトレンド感を取り入れる塩梅も絶妙だと思っています。
1人の天才的な職人の技術やセンスの上にたつのではなく、何人もの優秀な職人の技術やセンス、そして「時」と言うある意味では最高のフィルタリングを伴って受け継がれてきたものをベースに、ジェンナーロ・ソリート氏とルイジ・ソリート氏が率いる工房で、職人さんが黙々と仕立て上げる。
そこで生まれたものに、自然と”華やかさ”が宿ると言うことは、もしかしたら必然なのかもしれません。
更に、私がこれまで購入させて頂いたソリートのスーツの生地は、ネイビーもグレーもロロピアーナ。ロロピピアーナと言えば、エルメネジルド・ゼニアと並んでイタリアを代表する2大生地メーカーですよね。そしてその生地の特徴は、イタリアらしい柔らかく、心地良い肌触り、それでいて上品で、どこか色気を含んでいるような雰囲気にあるように感じます。
よって、見方によっては男性的な風合いのある英国の生地メーカーに比べますと女性的で、優雅な風合い。
そんな生地の持つ風合いの影響もありますし、SUPER150'Sと言う、繊細な極細のウールならではの光沢感から放たれる雰囲気も、もしかしたら仕立てとあわせて”華やかさ”に、貢献してくれているのだろうと感じております。
「シンプルでベーシックなスタイル」
を標榜している私ですが、時には「華やか」であったり、また時には「色気」があったりと、「シンプルでベーシックな」なスタイルをベースに持ちながら、TPOや気分などによって、様々な雰囲気を着こなし等でプラスすることが出来たら理想かなぁと今は思っていたりします。
肩や袖の付け方、ラペルやポケット、ボタンの位置と言った全体のバランス感こそ、ベーシックで正統なクラシックスタイルを持つサルトリア・ソリートですが、用いる生地はもちろんのこと、着こなしによっては様々な雰囲気を醸し出せる可能性を秘めているように感じております。
そういう意味では、ベーシックさをスタイルの中心におきながらも、「どうありたいのか」を、常にそれを着る本人に委ねてくれるのがソリートであるように思います。よって、自分の努力次第では、二律相反する要素を内包しつつ、もっと素敵になれるのではないか!?と言う淡い期待を持っておりますから、これからも理想の姿に向かって鋭意努力する所存です。