大丈夫か!?フランチェスコマリーノ :Francesco Marino(フランチェスコマリーノ) 2019AW シルクジャカードペイズリー小紋柄ネクタイ
こんにちは!
本日は遅ればせながら、2019年AWアイテムを取り上げてみたいと思います。
それでは、まいりましょう。
■大丈夫か!?フランチェスコマリーノ
この度購入しましたのは、私が好んで締めているネクタイメーカーの1つである、フランチェスコマリーノの シルクジャカードペイズリー小紋柄ネクタイです。
私が普段お世話になっているSharonさんでは残念ながら諸事情によりマリーノの取扱いはなくなってしまいましたが、大のお気に入りであるE.G.カペッリやジュストビスポークにはない、イタリアならではの大人の色気を強く感じるスタイルは魅力的。良いものに出会えれば今後も購入していきたいと考えており、この度グッと来たのが本日ご紹介するネクタイでした。
ベースはグレーカラーのヘリンボーン柄となっており、渋さのあるヴィンテージ感がたまりません。そして、その上にはやや小ぶりなペイズリーの小紋柄が入るのですが、色や大きさ、デザインが絶妙で、これが色気あるモダンさを引き出しているあたりに惹かれました。
シルクプリントではなく、ジャカード織でないと出せないこの雰囲気。生地の選び方は流石マリーノ!と思わずうなってしまいます。
仕様はトレピエゲ(3つ折り)のスフォデラータ(裏地無し)、剣先のみ芯無しです。
今回もその雰囲気には大満足なのですが、ここ数シーズンほど私の中で感じていた”違和感”が、今回の2019年AWアイテムにおいてピークに達してしまいました。それが、品質レベルのあきらかな低下です。。
誰にでも分かりやすいところで言うと、剣先縁の処理の祭り縫い。これまでに比べると三つ巻きの幅が広くなり、縫製にも若干の粗さを感じます。一般的に三つ巻きの幅が狭いほど技術的には難易度が高く、これまでは幅がもっと狭かったのですが、今回は明らかに幅が広くなっています。
更に、昔は三つ巻きの表情もふっくらと、丸まっておりましたが、今では上からプレスをしたようにベタっとした表情。仕立てるのはこちらの方が簡単だと思いますが、せっかくのハンドメイドネクタイの良さがこれでは台無しです。
ちなみに、下記が比較画像。数年前に購入したマリーノが左、今回が右。三つ巻きの幅が広くなっている上、縁の祭り縫いの粗さが目立つことが一目瞭然。。
正直私は縫製の美しさに対しては、そこまでの強いコダワリはありません。手縫いである以上、ミシンに比べれば不均衡になるのは当たり前で、そこに魅力を感じている自分もいるのですが、「リズミカルで美しい不均衡さ」と「粗さ」は別物。今回のマリーノには、後者である「粗さ」を特に強く感じてしまいました。
他にも、使われている芯材も最近のシーズンのものは若干変化があるのかもしれません。しっかりとコダワッテいるネクタイメーカーは、生地によって使う芯材を調整をすることがありますので、全てのネクタイが同じであるとは限りません。
例えば数年前に購入したマリーノの芯材には2枚芯が使われています。恐らくコットンとウールだと思うのですが、生地がとても柔らかいので、微調整のために2枚にしているものと思われます。もちろんダブルクロスと言われる厚いウール芯の方が締め心地などは良いのですが、コスト的な側面でウール×コットンの2枚芯になることはよくあります。
それでも今回のマリーノは1枚芯かつ、かなり薄い芯材が使われています。これによる影響を受けているのか、全体的なふっくらとした印象もなくなっており、大好きなネクタイメーカーだけに個人的にはとても悲しくなりました。
もちろん中には同じく2万円近くするネクタイでも今回のマリーノのクオリティと同じようなクオリティのネクタイは世の中に存在するのですが、マリーノのこれまでのクオリティを知っている方からすると、この変化と言うか、劣化は残念でなりません。正直セールならまだしも、今後プロパーで購入するのは気が引けてしまうかなと。。
それでも、上述しましたように生地の持つ魅力と言うのは健在です。よってマリーノのビジュアル的な魅力が大きく損なわれたわけではありませんので、あまり細かい事を気にされない方にとっては、引き続きマリーノを選ぶと言うのも無しではないと思います。
■実際に締めてみた
それでも、早速デビューをさせてみましたので、その画像をご紹介したいと思います。
実際に締めてみると、やはり生地と芯材のバランスには変化を感じます。特に芯材が薄い分、ノットがかなり小さくなる印象があります。個人的にはノットが小さい方が好みなのですが、小さすぎるのもバランスに問題がありますし、ある程度反発のある芯材でないとノットも整ににくく、またディンプルの造形も綺麗に出しにくいので、個人的な好みで言えば、もう少し厚い芯材を使って頂きたいところ。
ただ、全体の雰囲気としては悪くないというか、相変わらず良いと思っています。こういう色気あるモダンさのあるスタイルを作らせたら、右に出るものはいないのではないかなと今だに感じます。
もしかしたら個体差と言うのもあるのかもしれませんので、機会があれば店頭で確認をしてみたり、セール等で気になるものがあれば購入をして、マリーノの品質チェックを個人的にはやってみたいと思っています。
せっかく好きなネクタイメーカーなので、願わくばこれからも購入をしたいと思っています。ただ、1本2万円近くするネクタイは決して安くはありませんので、納得して購入したいですし、ワクワクしながらネクタイを締めたいと思っていますので、これからの1、2シーズンくらいは「大丈夫か!?フランチェスコマリーノ」と言う気持ちをもちながら、手に取っていきたいと思います。