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Think Elegant !

ファッションを通して自らの人生と向き合い、美しいと感じるスタイルを追及するブログです。

最近あった、嬉しかった話。:オーダースーツ編

ご無沙汰しております、rm55です。
相も変わらずコロナ一色の世の中ですが、皆さまいかがお過ごしでしょうか。

私はと言えば、とりあえず元気ではあります。

元気ですが、緊急事態宣言前後に行った在宅勤務の実施や今でも続く打合せ、会食等の可能な限りの自粛。そして週末の外出等も場所を選ぶと言った生活の変化に慣れたのか、慣れていないのか。オーダーしたアイテムを受け取ったりすると一時的にテンションは上がるものの、ファッションに対する日々の情熱は、これまでのような高い状態を維持できないままでいます。
トンネル

私は車での通勤、移動がほとんどですので、現時点では夜の宴や週末における遠出の自粛などを除き、基本的にはもとの生活リズムに近い状態で過ごしています。よって出勤時にはスーツやジャケット、ネクタイを着用すると言うスタイルを楽しんではいますが、これまでランチのレパートリーに入っていた店舗が無期限休業になっていたり、席と席との間にアクリル板やビニールシート、ソーシャルディスタンスを保持した座席配置などを見るにつけ、世界が変わってしまったことを日々強く実感しています。

このような中で、改めてファッションの良さといいますか、嬉しい話がありましたのでご紹介をしたいと思います。

■ファッションの楽しさの本質としてのコミュニケーション
人間は他人との関わり合いを持たずにはいられない生き物だと言われています。

その昔、拷問の1つとして独房に入れられ、外部とのコミュニケーションの一切を遮断すると言う方法があったことは知られていますが、それくらい他人との関わり合い、コミュニケーションを取らない状態が長く続くのは、人間にとって大変ツラい事なわけです。

ファッションも、その本質、少なくとも私自身が楽しんでいたファッションの本質には、コミュニケーションがあったと考えています。

実際、モノが好きだと言う自覚はありましたが、このコロナ禍の中で、ファッションアイテムと言うモノが好きと言うよりも、好きな服を着て好きな場所に行き、好きな人達とのコミュニケーションを楽しむことが好きだったのだと気づいたことは、以前もどこかで記載させて頂いたと思います。

私は幸い、本ブログ以外にも「CSME」や「インスタグラム」も運営(と言っても一部は放置状態ですが・・・)していますので、リアルにおける様々なコミュニケーションの機会が減少したとしても、ネットの世界では世界の服好きの方々とのコミュニケーションを楽しむことが出来る状態にあります。

そして本Blogも紆余曲折はありながらも大分長いこと運営をさせて頂いていたり、インスタグラムでも多くの方にフォローを頂いていることもあり、服、とりわけ私が好んで着ているクラシックファッションに関する質疑を頂くことはこれまでもあったのですが、6月の頭くらいでしょうか。ある方からCSME経由でメッセージを頂くことがありました。

それが、本日のメインテーマとなります。

■何を買うかではなく、誰から買うか
その方から頂いた最初のお問い合わせの内容をまとめると、以下の通りでした。

「妻子ある20代のビジネスマンで、クラシックファッションが好き。設定した予算の中で、出来るだけ良い生地を使ったスーツを仕立てたいと思い、自分で見つけた老舗のテーラーを訪問した。そこで提案された某ブランドの生地の質感はとても気に入ったのだが、生地のレーベル等が気になり、一旦保留にして帰ってきた。このままオーダーを進めて良いモノかどうか、意見を頂きたい。」

私もそうでしたが、オーダーしたスーツを着ている方と言うのは、実は身の回りに少なかったりするものです。私のこれまでのビジネス経験を振り返ってみても、会社員時代に後輩と先輩で1人ずつ、オーダースーツを着ている方がいたことを覚えていますが、それ以外の方でスーツをオーダーしていたと言うのは、当時の同期を含めて記憶にありません。

もちろん、今ほどスーツに興味がなく、目も肥えていなかったので気付かなかっただけと言うことは十分ありえますが、少なくとも周囲にオーダースーツを着ている人が豊富にいたわけでは無かったことは確かです。

そうなると、初めてオーダーをする時などに誰に相談をして良いものか、と言う状況になるわけです。

私は長年ブログ運営をしており、この中で自分のファッションやスーツに対する考え方を記事としてお送りしていましたので、その方はそれらの記事を踏まえて私の価値観/スタイル等に共感を頂き、信頼を頂いてご質問を頂いたと言う経緯があったようです。

もちろんブログやSNSをやっているとはいえ、私もファッション業界に従事するプロではなく、ファッション好きのただの素人です。よって、そのことを踏まえた上でと言う断りを入れて、以下の様な私見を述べさせていただきました。

1:私が生地を選ぶ際には、ブランドやレーベルは一切気にしないこと
2:個人的には生地とともにスタイルも気にすべきだと思うこと

まず「1:私が生地を選ぶ際には、ブランドやレーベルは一切気にしないこと」ですが、私がオーダーの際に生地を選ぶときには、仕立てようと思っているスーツやジャケットの利用シーンを踏まえた上で、生地の色、柄、目付、素材感(感触)、雰囲気等をみています。よって生地が利用シーンに合うと思えば、それがどんなブランドなのか、レーベルなのかは全く気にしていません。

もちろんオーダーを重ねる中で気に入ったブランドの生地(例えば私の場合はエスコリアル)は出てきますが、結果論であって、まずブランドありき、レーベルありきで選んだことはありません。

しかし、ここで重要なことは、それには前提があることです。

具体的には、以下の2点です。

1:信頼関係の構築されているショップがセレクトした生地の中から選んでいること
2:様々な生地を見てきた中で、好みのスタイルがある程度固まっていること

上記2つの前提があるからこそ、ブランドやレーベルなどを気にすることなく、安心して生地を選ぶことが出来ていると言うことになります。

そして「2:個人的には生地とともにスタイルも気にすべきだと思うこと 」ですが、私は仕立てようと思っているテーラーのスタイルを把握することがとても重要だと思っています。

今回はその方が仕立てようと考えているテーラーの情報を頂いて確認をしたのですが、仕立て上がりのスーツ/ジャケットのスタイルに関する情報がなく、イメージを掴むことが出来ませんでした。

私は新社会人になりたての頃に父親の友人のテーラーにおいてスーツを仕立て貰ったことがあったのですが、着丈が長かったりして、一部を直して頂いていた経験があります。

オーダースーツと言うと真っ先に生地選び、ディティールデザイン等が頭に浮かんでしまうことがありますが、それと同じくらいスタイルは重要だと思っています。(服好きの場合は特に!)

なお、個人的にはしっかりと自分のスタイルを提示しているテーラー、サルトにて仕立てることをおススメしています。特に、お客さんの好みに合わせていかようにもすると言う謳い方をしているところは、自分たちのスタイルがないと宣言しているようなものなので個人的に信頼は出来ません。

このようなやりとりを数回程させて頂き、またスタイルや予算を踏まえて私が合うと感じたテーラー/サルトをご紹介した中で、結果的にその方はご自分で選ばれた当初とは別のテーラーにて仕立てることに決めたと言うご連絡を頂きました。

決め手は、話をじっくり聞いたうえで”信頼出来そうだ”と言う手ごたえを感じ、そのテーラーの”審美眼”に共感したからと言うことでした。

他の業界でも、高額商品になると「営業マンを買え」と言った趣旨の格言?があったりします。

これはファッションの世界でも同じことが言えると思っています。実際、私が現在購入をさせて頂ている南青山に店舗を構えるSharonさんも、今でこそサルトリア・ソリートやルカ・アヴィタービレ、G,イングレーゼ、E.G.カペッリと言った私が現在気に入っているブランドを扱っていますが、出会った当初にあったのはG.イングレーゼくらいなもので、扱っているブランドはほぼ知らないものばかりでした。

それでもオーナーであるK氏とお話をさせて頂き、同じビジネスマンとしてK氏の持つビジョンに共感し、人ととして信頼できそうだと言う確信が、その後通わせて頂くことになる最大のポイントでした。もう何年も前のことですが、結果的にはその感覚は間違っていなかったと思っています。

■嬉しかったこと
そして先日、そんなやりとりをさせて頂いた方からオーダーしたスーツが仕立てあがったと言う嬉しいご連絡を、仕立てあがったスーツの画像とともに頂きました。

私はその方が選ばれたテーラーを知っておりましたが、そのテーラーのスタイルと選ばれた生地とのバランスが絶妙で、上品で気品のある1着が仕立てあがっていました。そして何より嬉しかったことは、その方が”今までにない程に高い満足感”を得た上で、次の1着もオーダーをしてきたと言うご報告を頂いたことでした。

やはり同じ服好きとして、満足のゆく1着が仕立てられたと言う話を聞くのは本当に嬉しいことですし、それが仕立てる迄の経緯を知っている方であれば、尚更自分のことのように嬉しくなります。

更に、その満足度の高さ故に次の1着をオーダーしたと言うお話には、非常にテンションが上がりました。

ただでさえビジネスファッションのカジュアル化が世界的に進む中で、最近はコロナによる在宅勤務の広がりによってスーツやジャケットを着る機会が減っている。このような中で、今後消費の中心となってくる若い世代である20代の方がオーダースーツの良さ、楽しさを体感頂き、その魅力を感じて頂けたことは、ファッションを扱うブログを運営している1人として最高の喜びです。

そのあまりの嬉しさに、今後クラシックファッションに関するコンサルティングサービスでも提供しようかしら!?と考えたほど。(笑)

「素人の、素人による、素人のためのファッション・アドバイザリーサービス By rm55」

ウィズ コロナの世界において、これまでのようにファッションに対する高い情熱を”無理して”持ち続ける必要はなく、もしかしたら自分だけではない、服を愛する仲間達の喜びを分けて頂きながら、皆でファッションを楽しんでいくと言う在り方も良いのではないかと感じた出来事でした。
海と空


そんな素敵な経験をさせて頂きましたHさん、この度はありがとうございました。
これからも素敵なクラシックファッションライフをお送りください!