30
2021
こんにちは! 本日は「全集中 お金の呼吸 弍ノ型 信用札2枚打」と言う、今や国民的アニメと言っても過言ではない「鬼滅の刃」に寄せたタイトルを掲げながら昨年末に購入していたネクタイを取り上げたいと思います。 それでは、まいりましょう。 ■周回遅れの鬼滅の刃 昨年末にお送りした「7周年の御礼! 」にも記載しましたが、周回遅れどころか、2周、いや3周ほど遅れて我が家でも「鬼滅の刃」ブームが到来しています。 ※子供にせがまれた描いた鬼滅の刃 煉獄杏寿郎のスケッチ 世間的にジャンプ発の漫画である「鬼滅の刃」が話題になっていることは知っていたものの、子供の強い希望で現在公開されている「鬼滅の刃 無限列車編」を観に行ったことで、その魅力に気付き、ようやく原作である漫画の購入を検討し始めたのが昨年末のこと。 ただ歴代最高の興行収入をたたき出すほどの人気ゆえ、色々とあたってみたのですが、全巻まとめての注文を受け付けてくれる書店はありませんでした。 ネットでは全巻をまとめて販売しているショップやフリマアプリなどはあるものの、どこもプレミア価格。正直そこまでして買う価値は感じておらず、定価での購入を目指していたのですが、通常ルートでは中々買えない(※)ので、コネ!?を使ってごにょごにょした結果、今年の頭にようやく1巻から最終23巻までの「鬼滅の刃」の原作漫画全冊を一気に入手することが出来ました。 ※1冊ずつなど、個別での購入は可能 言わば、「全集中 お金の呼吸 壱ノ型 大人買い」と言うやつです。(笑) 漫画を読むのは何年振りだろう!?と言うような懐かしい感覚とともに一気に、そしてとても楽しく読み終えることが出来ました。原作が良いのは言うまでもないのですが、ただやはり、あそこまでヒットした要因にはアニメの出来栄えが相当に良かったからだろうなとも同時に感じたのが率直な感想です。 嫁さんも同意見のようでしたが、漫画がとても気に入ったらしく、現在2度目を読もうとしているので我が家では当分「鬼滅ブーム」が続きそうです。 このような中で「壱ノ型」の前に、昨年末にくりだしていたのが「全集中 お金の呼吸 弍ノ型 信用札2枚打」と言う技。コロナ禍によって遅れていた2020-2021AW商品が年末にかけてSharonさんにどっと入荷していましたので、「信用札2枚打」と言う名のクレジットカード2枚使い(※)によって惹かれたアイテムを一気に購入していました。 ※締日が異なるので引落日がずれ、お財布に優しい技です。笑。 それが、これまでご紹介をしたルイージソリートのアンコンジャケットであり、サルトリアソリートの吊るし(既製品)であるFOXツイードのヘリンボーン柄スーツだったのですが、これらに加えてネクタイを2本ほど合わせて購入をしていました。 その内の1本が、本日ご紹介をするE.G.カペッリのストライプ柄シルクタイになります。 ■E&G CAPPELLI(イージー・カペッリ) ストライプ柄シルクタイとサルトリアソリートのFOXツイード ヘリンボーン柄スーツ この度購入したのは、久しぶりのストライプ柄のタイ。やや太めかつ、ネイビー×グリーン×ブラウンと言う色の組み合わせが新鮮で魅力的でした。 仕様はいつもの通り、安定のトレピエゲ(3つ折り)の剣先のみ芯無しのスフォデラータ。 肉厚でガシっとしたイギリス産のシルク生地を用いており、色合い、風合いともに同時に購入したサルトリアソリートのFOXツイードのヘリンボーン柄スーツにぴったりでした。 よって、もちろんデビューはソリートのスーツに合わせました。カントリーテイストを強調するのであれば、タイも肉厚のウール(ツイード)タイの方が良いと思うのですが、エレガントさをスタイルに取り入れたいと考えている私にとって、この肉厚のシルクタイはぴったり。 ヘリンボーン柄と特徴的なネクタイの色合いにはカントリー感を感じるものの、スーツとタイの光沢ある生地感がエレガントさをも醸し出し、土臭さと上品さのバランスが絶妙であるように感じます。 ちなみに靴にはダークブラウンカラーのセミブローグをセレクト。 これまでのSharonさんのセレクトの中にはあまり見ないような色合いのタイでしたので、このソリートのスーツに合わせて生地を選んだのではないか!?と思われるくらい、ハマっているように感じます。 普段は所有しているスーツやジャケットを頭に思い浮かべながら、これとこれには合わせられる!と言う計算!?をしてネクタイを購入をする事が多いのですが、今回はそういったことは一切考えず、まさにサルトリアソリートのFOXツイード ヘリンボーン柄スーツに合わせるために購入をしたと言っても過言ではない、贅沢なネクタイが、このカペッリのストライプ柄ネクタイになります。 たまにはコーディネートの汎用性の高さと言う視点を無視したネクタイの買い方があっても良いのかもしれないと感じたお買い物でした。
▲PageTop
28
2021
こんにちは! 本日は「コロナ禍と手仕事。」と言うテーマを掲げながら、前回に引き続き、昨年末に購入をしたサルトリアソリートの既成ラインである「Solito house exclusive per Sharon」のFOX BROTHERS ツイード ヘリンボーン柄スーツを取り上げてお送りしたいと思います。 それでは、まいりましょう。 ■コロナ禍のファッション産業に与える影響。 さて、相も変わらず緊急事態宣言による自粛生活を続けておりますが、良い意味でも、悪い意味でも!?”自粛慣れ”をしてきたのか、昨年のような気持ちの大きな沈み込みはなく、仕事、そしてプライベートともに淡々と生活を送る日々です。 このような中で、前回お送りしたルイジ・ソリートのアンコンジャケットとともに昨年購入をした、サルトリア・ソリートの吊るし(既製品)のスーツを先日引き取ってまいりました。正直スーツは既に所有しているものとビスポークで十分だと考えていましたので、今回吊るしのスーツを購入した(購入してしまった)ことは、自分自身が一番驚いています。 なぜあえて吊るしのスーツをこのタイミングで購入をしたのか!? 自らの購買活動を分析してみると、そこには大きく2つの要因が作用していたのではないかと考えています。それが「①仕立てのクオリティ」と「②セレクトされた生地」になります。特に、前者に関してはコロナ過が影響しているのではないかと想像していますので、まずは”コロナ禍のファッション産業に与える影響”と言うテーマから入りたいと思います。 コロナ禍が様々な業界や仕事に与える影響についてはこれまで本ブログではサラっと触れてきましたが、サプライチェーンがグローバル化したファッション産業のような業界に与えるダメージは相当に大きいのだと考えています。 1つの企業の中、そして国内で原材料等の調達、生産、販売が完結するのではなく、例えば欧州で調達した生地をアジアに送って生産し、それを国内に仕入れて販売すると言ったように、複数の企業、国が商品の供給に関わっている場合、コロナ禍によってその流れが分断されてしまい、原材料の供給遅延であったり、最悪生産が停止してしまうことは容易に想像することが出来ますね。 また供給側のダメージに加えて、需要側においても外に出る機会が減る(リモートワークを含む)と言うことはオシャレをする、服を着る機会が減ることを意味し、ファッションアイテムそのものを買わない、つまりファッションアイテムが売れなくなることに繋がります。 実際、先日も27年と言う歴史を持つエディフィスの1号店である渋谷店の閉店がベイクルーズよりアナウンスされ話題!?となっていましたし、セレクトショップであるストラスブルゴを運営し、一世を風靡したラルディーニの輸入販売を手掛けていたリデアカンパニーリミテッドが倒産、昨年2020年の11月17日に再生手続きの1つである民事再生法の適用を東京地裁に申請し、その後ワールドのグループ会社と日本政策投資銀行が共同出資して設立した会社とベルヴェストやヴァルスター、バブアー、モンクレール等のインポーターである八木通商がスポンサーとなり、再建を目指していることはご存知の通り。 つまるところ、ファッション産業は一部を除いて(※)非常に厳しい状態にあるわけです。 ※ユニクロやワークマン等の「低価格×高機能」商品群は好調。ただし、ユニクロもコロナ禍により新商品の遅延等の影響有 その影響は当然、世界を股にかけて活動をしていたサルトリア(テーラー)にも及びます。特にナポリをはじめとしたイタリア南部のサルトにおいては地元の顧客が(経済的理由による)少なく、基本的には海外の顧客に依存していることが多いのが実態だと思われます。 すると、渡航(入国)制限等によって受注することが困難になるだけではなく、仕立てている服を進捗させること、つまり仮縫いや中縫い、納品等を行うことさえも難しくなってきます。 特にイタリアは一帯一路を推進する中国共産党との結びつきが強く、ヨーロッパの中でも早い段階からコロナ禍による影響を受けており、現時点においてもなお、厳しい渡航(入国)制限が続けられています。 つまり、外需に頼るサルトの経営そのものに大きな打撃を与えていると言うことを強く想像することが出来るわけです。 このことは私が長らく愛用しているサルトリアソリートでも例外ではないと思うのですが、幸いにして!?サルトリアソリートは私が普段お世話になっている南青山に店舗を構えるセレクトショップであるSharonさんとの取組により、ビスポークへの影響を与えない範囲で、吊るしの展開を行っています。 吊るしであれば、国外に出ることなく仕立て、納品(発送)を完結させることが出来、売上を立てる(収入を得る)ことが出来ますね。 よって、コロナ禍の中においても吊るしのラインである「Solito house exclusive per Sharon」の2020-2021/AW商品が、普段よりもかなり遅めではありましたが、昨年末にSharonさんに入荷していました。 ■コロナ禍と手仕事。 もちろん事前にソリートのAW商品が入荷することは伺っていたのですが、私の中でのメインは前回、前々回(※)とご紹介をさせて頂いたルイージソリートのアンコンジャケットであり、ソリートの吊るしのラインに特段注目していたわけではなかったのです。 「名門サルトが本気で仕立てたアンコンジャケット!?:Luigi Solito ルイジ ソリート ネイビージャケット 【前編】 」 ※ 「名門サルトが本気で仕立てたアンコンジャケット!?:Luigi Solito ルイジ ソリート ネイビージャケット 【後編】 」 ところが、昨年末にSharonさんにお伺いし、ソリートの2020-2021/AW商品を見た瞬間にまっさきに魅力を感じたのが、サルトリアソリートの吊るしのラインである「Solito house exclusive per Sharon」のFOX BROTHERS ツイード ヘリンボーン柄スーツでした。 試着をする前にまず魅了されたのは、「②セレクトされた生地」でした。この生地はフランネルで有名なイギリスのミルであるFOX BROTHERS(フォックスブラザーズ)のツイード(ウール・ヘリンボーン柄)になります。 フォックスブラザーズの生地は肉厚で、ハリとコシがあり、着こむほどに馴染み、味わいを増してくると言う特徴があります。以前もFOXで仕立てられた「Solito house exclusive per Sharon」のライトグレーにウィンドウペーンが入るスーツを購入していましたが、同じような生地の特徴に惹かれての購入した。 今回はグレーの色が濃く、また比較的大柄なヘリンボーン柄と言うことで、どちらかと言うとカントリーテイストが強い印象があるのですが、以前購入したFOXの生地よりもソフトかつ、程良い光沢感があることによって上品さが備わっている点が私にとっては特に魅力的でした。 カントリーテイストなんだけれど、エレガントさがある。これにソリートならではの柔らかい表情、丸みを帯びたショルダーラインがバッチリとハマっており、ハンガーにかかっている姿を一目見て惚れてしまったわけです。こういった意外性のあると言いますか、二律相反する要素を内包する服に出会えることはそうは多くはありませんので、この時点で相当に購買意欲が高まっていたことは言うまでもありません。 そして「買う」と言うスイッチを最終的に押すに至ったのは、実際にスーツを手に取り、そして試着をした際でした。 手に持つと肉厚な生地だけに重量感を感じるのですが、実際に着てみると首から肩にかけて綺麗にフィットすることから不快な重さを感じることがなく、とてもソフトで優しい着心地。その「①仕立てのクオリティ」は流石の一言です。 また生地と仕立てとの相性が相当に良いと感じたのが、柔らかく、丸みを帯びたショルダーライン。これまで私が購入をしてきた「Solito house exclusive per Sharon」、そしてサルトリアソリートのビスポークスーツ/ジャケットの中でも1つの完成形を思わせるほどのシルエットだと感じました。 実は、今回入荷していたアイテムはルイジソリートを含めてどれも、これまで以上に ”かなり丁寧”に、”緻密に仕立てられた”のだろうを思わせるに十分な痕跡を様々なところで感じていました。 もっとも分かりやすいのは手縫いで縫われたホールであったり、各所のステッチ。 これは私個人の想像ですが、恐らくビスポークに関する作業がコロナ禍によって減ったことで、吊るしにかけることの出来る時間が増えたり、精神的な余裕をもって仕立てることが出来たのではないか!?と感じています。 これが分かりやすところだとホールやステッチの表情、そしてカッティングやシルエットなどの各要素が高次元でまとまり、歴代最高の出来栄えと言っても過言ではない「①仕立てのクオリティ」に繋がっている要因ではないのか!?と推測しています。 工業製品の魅力の1つは、誰がつくろうと、どんな気持ちで仕事に向かおうと、アウトプットされる商品の品質のブレが一定の範囲内に収まることだと思っています。 これに対して手仕事の魅力の1つが、仕立てる人間の技量や感覚、精神的な要素がアウトプットに大きな影響を与えること。もちろんこれが手仕事におけるデメリットの1つにもなり得るのですが、だからこそ面白いと言いますか、興味深く、たまらなく愛おしく感じる瞬間があるのではないでしょうか。 コロナ禍は間違いなく、人類、そして多くの人々にとって災難であることは違いありません。しかし、こういった状況に強制的に置かれてしまったからこそ、自分自身であったり、モノやコトに対して丁寧に向き合うことになったと言う人は多いのではないかと思います。 パンデミックが起きてしまった以上、これを無かったことには出来ません。ただ、そう言った環境の中であってもポジティブな要素と言うのは丁寧に見ていけば存在するのだと、今回のソリートのスーツを見て改めて思っています。コロナ禍は多くの人にとって暗闇であることは変わりませんが、その中にあっても自分だけの小さな光を見つけて、前向き過ごすことが、より良く生きるためのヒントの1つではないかと感じさせてくれたソリートのスーツでした。
▲PageTop
15
2021
こんにちは! 本日は前回に引き続き、「名門サルトが本気で仕立てたアンコンジャケット!?:Luigi Solito ルイジ ソリート ネイビージャケット 【後編】」と言うことで、南青山に店舗を構えるSharon さんにおいて、2020-2021A/Wコレクションから新しくスタートしたブランドである「ルイージ ソリート」のジャケットのシルエットや着用感等をお送りしたいと思います。 それでは、まいりましょう。 ■名門サルトが本気で仕立てたアンコンジャケット。その驚きのシルエットと着用感。 まず実際に着用した際に感じるビジュアル面の特徴ですが、驚くのはそのシルエットの美しさ。余程見慣れた方でないと「サルトリア ソリート」のビスポークジャケットだと見間違えてしまうほど、完成度の高い佇まいを誇ります。 私は「サルトリア ソリート」を自分のメインスタイルに添えているので”その違い”を認識することが出来ますが、たとえ仕立て服に慣れ親しんだ方であったとしても、ソリートの仕立て服を着ていない方でなければ判別することが難しいと思われるくらい美しい首から肩にかけてのラインや、柔らかなショルダーラインには正直驚かされました。 またラペルロールもご覧の通り、まるでビスポークジャケットであるかのような美しい孤を描いています。今期のファーストコレクションではジャケットでは2型の展開がありましたが、仕立てる生地によって仕立て方を若干変えているそう。よって私が購入したジャケットのラペルには”ハ刺し”が施してありましたが、全てのジャケットに対して行うというわけではないようです。 「ルイージ ソリート」はブランド名の通り、ルイージ・ソリート氏がパターンの制作や全体の監修を行っているのですが、クラシックなスタイルを持つ「サルトリア ソリート」に比べるとややスリムなシルエットになっている印象を受け、これがスタイル面においてモダンさが強くなっているポイントの1つではないかと個人的には感じました。 そして美しいシルエットだけではなく、着用感も秀逸。アンコンジャケットとは言え、当然パターンはビスポークに準拠していますので、首筋や肩回りのフィッティングはアンコンジャケットとは思えないほど高次元でまとまっています。よって着用した際の体に”寄り添う”感覚はかなりのもの。 世の中にはアンコンジャケットの他にもイージージャケットやシャツジャケットなるモノが存在します。それはイタリアブランドはもちろん、国民的ブランドでもあるユニクロ等でもラインナップされているのですが、そういった量産品は軽やかでソフト、かつストレッチなどが効いているので体を動かしやすいと言う特徴があります。ただし、流石に羽織った際に”身体に寄り添う”と言う心地良さを得ることは出来ません。 実際に私はユニクロを含め、いくつかのブランドのアンコン/イージージャケットを店頭で試着してみたのですが、着た瞬間に自分の体に対するフィット感の欠如を感じました。もちろん仕立て服とは値段を含めて全てが異なるので本来比較するものではないのですが、明確な違いがそこには存在します。 そう言う意味ではテーラードジャケットを着ている方がフィッティングの心地良さを大きく失うことなく、気軽に、リラックスしたシーンで羽織ることが出来るのが、この「ルイージ ソリート」のジャケットであり、逆に手縫いの仕立て服に慣れていない方にとっては、その入門編として活用できる存在でもあるのかなと感じました。 なお、私は週末に子供と出かたり、食事を楽しむ際に”気軽に羽織ることが出来る”ジャケットとして購入をしました。 下の子はまだ4歳なので、外出先でも抱っこをねだってきたり、食事の際には食べ物で汚れた手を伸ばしてくることがまだあります。そう言ったシーンでビスポークや手縫いのジャケットを着ている際には、かなり気を遣ってしまう自分がおり、正直困っていました。 願わくばそんな事は一切気にせずに過ごすことが出来るのが一番良いのですが、やはり自分へのご褒美であったり、やる気を出すために購入している(私にとっては)超高額品なので、どうしても気になってしまう・・・。 そんな時にも気を遣いすぎることなく着用できるジャケットとして、この「ルイジ ソリート」はぴったり。「サルトリア ソリート」に比べると価格も半分とまではいきませんが、6、7割程度に抑えられていますし、芯材がないことから軽くて、コンパクトに折りたたむことが出来るので、ビスポークジャケットに比べると扱いも楽。 それでいて仕立てはしっかりとしていますので、上記のようにネクタイを合わせたとしてもちゃんと見えるシルエット、品位を持っていますし、ビスポーク仕様のパターンや仕立てによって、仕立て服に近いフィット感や腕等の体を動かした際の心地良さも備わっている。ご覧のように、腕を挙げても肩ごと生地が引っ張られて、シルエットが大きく崩れることもありません。 私は仕事で着用することを想定していなかったのですが、実際に着用してみて感じたことは、”シルエット、着心地ともにこのレベルを実現出来るのであれば、社内で過ごす日であればビジネスウェアとしても全然あり ”ということでした。 ■名門サルトが本気で仕立てたアンコンジャケット。どんな人におススメか!? そんな名門サルトが本気で仕立てたアンコンジャケットである「ルイジ ソリート」ですが、どんな人におススメか!?と言われれば、真っ先に挙げたいのは、仕立て服に慣れ親しんだ方で、よりリラックスしたシーンに気軽に羽織ることの出来るジャケットを欲している方になります。 その理由は、仕立て服に慣れ親しんだ方であっても満足することの出来る美しいシルエットや心地良い着用感を実現しており、更に”副資材がないことによるデメリットも理解している”と思われるからです。 芯材等の副資材は、当然のことながら存在理由があります。その大きな理由の1つは、私の言葉で言えば「体型補正(※)」です。 ※スーツを着た男性がカッコ良く見えるのは、副資材等によってボディバランスが整って見えるからと言う見方も出来ると思います。 芯材があるからこそ表現することの出来るシルエットと言うのは間違いなくあると思っています。逆に言えば、カッティング(パターンメイキング)とアイロンワーク、仕立て技術のみでは、シルエットを作り出すのには限界がある。よって自身の体型が気に入っていたり、素敵なプロポーションをお持ちなのであれば、この点は全くデメリットにはならないのですが、ビスポークに求める要素の1つとして「体型補正」を求める方ですと、物足りなさを感じる可能性があります。 ちなみに私は自らの利用シーンを考えた場合に十分満足することの出来る「体型補正」機能が備わっていたことや、「ルイージ ソリート」と言うブランドの持つ価格を含め、高次元でまとまったバランス力と気軽に扱えると言う商品性に強く惹かれました。 また、「耐久性」も副資材がないことで影響を受ける要素の1つです。芯材があるからこそ維持することの出来るライン(シルエット)がありますので、これを省くと言うことは、芯材が入った同じ生地・仕立てのジャケットに比べると、耐久性が劣る、型崩れが起きやすくなることを意味します。 私は”物もちが相当に良い”と言う自負がありますので、この「ルイージ ソリート」のジャケットも長らく愛用出来ると言う自信があるのですが、服の扱いに自信がない方や、服に対して求める「耐久性」の重要度が高い方には、「ルイージ ソリート」のようなアンコンジャケットはあまりおススメ出来ません。 なお、上記では「仕立て服に慣れていない方の入門編」として、この「ルイージ ソリート」はアリではないかとも書いたのですが、それはビスポークに比べると価格がこなれているからと言うだけの理由です。従って、正直に言うのであれば、理想としてはビスポークから入った方が良いと思っています。 それはビスポークの持つ良さを自らの感覚として経験した上で、上述した「体型補正」や「耐久性」等が自らにとって不要だと言う判断をする事が出来てはじめて、アンコンジャケットを選ぶと言うのが正しいアプローチであるように私は思うからです。 もちろんこのあたりの感覚、感性は私独自のモノになりますから、気になる方は是非、Sharonさんの店頭にてご試着されることをおススメします。 ちなみに、裏地がついていないことによってニットなどをインナーに着る場合には若干ひっかかりを感じることもありますので、その辺りを含めて、自分のスタイルに合うのか否かを確認されるのが良いのではないでしょうか。 今回はファーストコレクションと言うことでネイビー無地と、赤茶ベースのチェックジャケットと言う、ややテーラードジャケットタイプのものを準備されたと伺っていますが、今後はサファリジャケットなど、よりスポーティ、カジュアルなアイテムをメインに展開していくと言うお話もされていました。 私は上述したように子供と出かけたり、外食を楽しむ際に気軽に着ることの出来るベーシックなジャケットが1着欲しいと思っていたので購入しましたが、テーラードジャケットとして着るのであれば、やっぱりビスポークであったり、「サルトリア ソリート」の吊るしのラインの方が私は好みです。よって今後はテーラードジャケット(ドレスウェア)は「サルトリア ソリート」、カジュアルウェアとしてのジャケットは「ルイージ ソリート」と言う棲み分けが出来そうだと考えていますので、これからの「ルイージ ソリート」展開をとても楽しみにしています。
▲PageTop
13
2021
遅ればせながら、明けましておめでとうございます。 本年も、どうぞ宜しくお願い致します。 さて、2021年も新型コロナウィルスで幕を明けた感じが致しますが、皆さまいかがお過ごしでしょうか!? 私は年末年始も必要な買い出しや日帰りで実家に帰ったことを除き、ほぼ家でゆっくりと過ごしていましたので、とても元気です。ただ、私が関わっているビジネスの中でもコロナの影響が軽微なものと、大きくダメージを受けているものとがあり、ビジネスと言う観点で言えば、今年は色々な意味で厳しい状況になることが予想されます。 実際、コロナ禍によって必須となった消毒・除菌関連の商材はもちろん、家で”豊かに”過ごすための巣ごもり関連のモノ、コトを扱う業界であったり、それらを流通させる宅配、個人向け荷物の配送、そしてリモート/テレワーク関連と言った好調な業界がある一方で、人の移動であったり、人が集まることによって成り立つような業界は大きなダメージを受けていると思います。 そして現在、東京、神奈川、埼玉、千葉においては緊急事態宣言が2月7日まで発せられており、不要不急の外出や移動の自粛や、飲食店を中心とした時短要請等が行われています。 死に至ることがある感染症故に感染の拡大を抑えることはもちろん、現在逼迫している医療の状況を見ても、可能なかぎり不要不急の活動を自粛することは当然だと思っています。しかし人間は生きるためには食べていくことが必須である生き物でもあります。よってこれまで同様、必要な感染対策はしっかりと行いつつ、正しくウィルスを恐れながら経済を回すことにも微力ながら寄与したいと考えています。 このような中で先日、昨年末に購入をしていたアイテムを引き取ってきましたので、本日はこれをご紹介したいと思います。 ■より気軽にテーラードを楽しむことの出来る「ルイージ ソリート」 この度私が購入をしたのは、Luigi Solito(ルイージ ソリート)のジャケットになります。「ルイージ ソリート」は、私が普段お世話になっている南青山にあるセレクトショップであるSharon さんにおいて、この2020-2021A/Wから取り扱いを開始した新しいブランドになります。 現在私が自分のメインのスタイルに添えているのは、イタリアはナポリの名門サルトの1つである「サルトリア・ソリート」です。今やマエストロとして世界中にファンを持つジェンナーロ・ソリート氏が始めたサルトリアですが、ジェンナーロ氏のご子息がルイージ・ソリート氏であり、氏がご自身の名前を掲げてSharonさんと始めたのが、本日ご紹介する「ルイージ ソリート」になります。 そして「ルイージ ソリート」における最大の特徴が、タイトルにも掲げた”名門サルトが本気で仕立てたアンコンジャケット”であると言う点です。 アンコンストラクテッド・ジャケット、通称”アンコンジャケット”とは、通常の(ビスポーク)スーツに用いられる毛芯や襟芯、肩芯などの副資材や裏地などを極力省くことで、軽やかで、ソフトな着心地を実現したジャケットのことを言います。 日本におけるアンコンジャケットの火付け役と言えば、一世を風靡したBoglioli(ボリオリ)が有名です。副資材を省くことでクタっとした独特の表情持っていたり、洗いをかけることによって風合いを持ったカジュアルなジャケットは新鮮かつインパクトがあり、またドレスウェアのカジュアル化の流れもあって一気に市場に浸透していきました。 私もイタリアンファッションに足を踏み入れた際に、最初に購入したジャケットがボリオリのジャケットでした。 その後、本格的なテーラード仕立てのスーツやジャケットと言ったドレスウェアの盛り上がりや、お家騒動!?もあって今では下火になっていますが、「アンコンジャケット=ボリオリ」と言うイメージを持っている方も多いのではないかと思います。 そんなアンコンジャケットを名門サルトが本気でつくり、新たに世の中に送り出してきた背景には、やはり時代の流れがあるのではないかと想像します。 仕立て服(ビスポークスーツ/ジャケット)と言うのはファッションではなく、スタイルだと思っています。しかし、仕立て服が一時ファッション関連のメディアに大きく取り上げられ、ある意味での流行となったことは皆さんもご存知のことと思います。ただファッション業界と言うのは新たなトレンドをつくり続けることが至上命題でありますから、流行が過ぎ去るのもまた早いのです。 私の認識では、ファッション業界における仕立て服の流行はピークを越え、現在はよりカジュアル、スポーティな流れに移行しています。 もちろん仕立て服はスタイルですから、これまで長らくファンであった方は継続してファンであることが多いと思うのですが、世界的なビジネスウェアのカジュアル化と言う大きな流れは継続しており、更にこのコロナ禍によるリモートワークの広がりによって加速度的に今の流れが進むであろうことは想像に難くありません。 従って例え多くの顧客を持つ名門のサルトであったとしても、将来を見据えた際には、この流れを無視することは難しいのだと思っています。 このような時代的な背景の中で新しく登場したのが、上述のように副資材等を省くことで、”より気軽にテーラードを楽しむことの出来る 「ルイージ ソリート」”だと考えています。 ■名門サルトが本気で仕立てたアンコンジャケットの仕様 今回、ファーストシーズンとなる2020-2021A/Wコレクションの中から私が選んだのは、シンプルでベーシックなネイビーの無地のジャケットになります。副資材が一切省かれているので、ご覧のようにシャツのように柔らかく、軽いと言う特徴があります。 もちろん裏地も一切ついていません。 そして首回りだけではなく、肩回りもご覧のと通り芯材が入っていないので、とても柔らかい表情。 しかしその一方で、フラワーホールであったり、 各パーツの縫い付け、ステッチワークは手縫いで行われていますし、 カタチを整え、美しいラペルロールを出すためのハ刺しなど、サルトが本気で仕立てていることを伺い知ることが出来る仕様になっています。 アリストンの生地で仕立てられた「ルイージ ソリート」のジャケットは、一見するとクラシックな製法で仕立てられた「サルトリア ソリート」のそれと見分けがつかないくらい、本格的なジャケットの雰囲気を醸し出していると言っても過言ではないと思います。 名門サルトが本気で仕立てたアンコンジャケット。 「後編」では、その実際の着用イメージや、私が着てみた感想などをお送りしたいと思います。
▲PageTop