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Think Elegant !

ファッションを通して自らの人生と向き合い、美しいと感じるスタイルを追及するブログです。

理想の鞄を求めて:Kazami no トランクショー at Sharon:後編

こんにちは!
本日は「理想の鞄を求めて」と言うテーマの後編と言うことで、先日5月14日-15日にかけて北参道にあるセレクトショップであるSharonさんにて開催されていた、ビスポークのバックを手掛けているKazami no(カザミノ)の トランクショーにて私がオーダーさせて頂いたバックを取り上げたいと思います。

それでは、まいりましょう。

■至高のトートバック
この度私がオーダーをしたのは、トランクショーの会場となったSharonさんのインスタグラムにも投稿されていた、トートバックになります。しかも革の色やステッチなどのディティールもほぼいじることなく、このままでオーダーをさせて頂くことに致しました。



私はこれまでスーツやジャケット、靴やクラッチバックをビスポークさせて頂いてきましたが、私にとってビスポークとは何か?と言うと、やはり職人さんが培われてきた美意識や世界観を受け入れることだと感じています。従って最初の1着、1足は特に、自らの要望は最低限に抑え、まずは職人さんの提案を極力そのまま受け入れてみることを大切にしています。

そういった考えから、今回もSharonさんの店頭に置いてあり、トキメキを感じたトートバックをそのままオーダーさせて頂くことにしました。
Kazamino_カザミノ_トランクショー4

色はトープ。革にはドイツのタンナーのシュリンクレザーを用いており、見るからに柔らかいフォルムを持ち、Kazami noのアイコン的存在ともなっているセンターに入るベルトとオリジナルのバックルがエレガントさを醸し出します。
Kazamino_カザミノ_トランクショー8

バック本体は継ぎ目無しの革を贅沢に使用し、インナーには大き目のポケットが2つ備わっています。また、ベルトはギボシで外すことが出来る仕様。
Kazamino_カザミノ_トランクショー6

革の裁断面であるコバは「切り目」で処理。番手の違うヤスリを数種類使い、荒いものから細かいモノへと変えながら綺麗に処理をしていく、結構手間暇のかかる部位。職人さんの仕事に向かう姿勢や丁寧な仕事ぶりが分かります。ちなみに革鞄で有名なエルメスは塗料を塗ってコバ処理をしていますよね。この方法だと見た目は綺麗になるのですが、使っていると割れたり、剥げたりして補修が必要になるので、カザミノでは塗料は塗っていないそうです。
Kazamino_カザミノ_トランクショー7

柔らかいフォルムが出るように調整を重ねたというだけあって、とても優しい表情です。
Kazamino_カザミノ_トランクショー5

また、ベルト部分には杉山氏がデザインをして作成した、真鍮製のオリジナルバックルが備わっています。このバックルは個人的にかなりツボ。繊細なラインが少しフェミニンで、これがエレガントな雰囲気につながっている気がしています。


今回のオーダーで私が唯一要望を出したのが、底面に薄い芯材を入れて補強をすること。実は仕事においてノートPCを持ち歩くことがたまにあるのですが、底面が柔らかいとたわんでしまい、フォルムが崩れる原因となるのです。Sharonさんにサンプルのトートが置いてある時にちょうどPCを持ち歩いていたので試しに入れてみたところ、思ったよりたわみは少なかったのですが、念の為、その点のみ要望としてお伝えさせて頂きました。
Kazamino_カザミノ_トランクショー10

今回のトランクショーでは製作期間の関係もあって受注数を6つに限定すると伺っていましたが、既にその枠を超える?ようなオーダー数が入っている予感・・・。完成には6~7か月ほどかかりそうとのことでしたが、職人さんが自分の為だけに時間を使って作り上げてくれるということが本当のラグジュアリーであるようにも感じます。

完成まで楽しみに待っていたいと思います♪

■Kazami noのラインナップ
今回のトランクショーでは私がオーダーさせて頂いたトートバックの他、ちょっとした買い物の際に財布や鍵などを入れておくポーチ型のバックとリュックがラインナップとして展示されていました。
Kazamino_カザミノ_トランクショー3

他にも1泊程度の旅行鞄であるオーバーナイトバックもあるようですが、制作にかなり手間暇、時間がかかるそうで、今回のトランクショーではラインナップから外れたとのことでした。


今後もクラッチバックなど、ラインナップに加えたい鞄はあるようですが、嬉しい悲鳴か?サンプルを制作する時間がなかなか取れないと仰っておりました。ただ、思想とスタイルに共感したファンの1人としては、是非新しいラインナップも見てみたい気がします。(笑)

ちなみに、トートバック以外ではこちらのリュックがかなり良かったです!先日「スーツにリュックはアリか、ナシか?」と言う記事をお送りさせて頂いたこともあって!?、もちろんスーツやジャケパンに合わせる気はありません。(笑)ただ、トランクショー当日は週末と言うこともあってカジュアルスタイルで訪問させて頂いていたのですが、そのスタイルに合わせて背負わせて頂いたら、かなり良き!


背負い心地も良く、リュックの納まる高さも高すぎず、低すぎず、絶妙。また手持ちも可能な仕様となっており、その雰囲気の良さと実用性の高さにかなり惹かれた次第です。正直子供と公園に行くと言ったアウトドアシーンでしかリュックは使わないのですが、Kazami noのリュックであれば、それ以外のシーンであってもアリかもと強く感じましたよ。タイミングあれば、こちらもチャレンジしたみたいと思います。

次回、SharonさんでのKazami noのトランクショーがいつになるのか分からないのですが、気になる方は是非、お問合せしてみてはいかがでしょうか!?

私を同じようなスタイルを好まれている方には特におススメで、唯一無二の理想の鞄となってくれると思いますよ!





理想の鞄を求めて:Kazami no トランクショー at Sharon:前編

こんにちは!
先日5月14日-15日にかけて北参道にあるセレクトショップであるSharonさんにて開催されていた、ビスポーク バックを手掛けているKazami no(カザミノ)の トランクショーに参加させて頂きました。よって本日は「理想の鞄を求めて」と言うテーマを掲げて、その時の様子をご紹介したいと思います。

なお、本記事は前編と後編の2部構成とさせて頂き、前編では私がカザミノのバックに惹かれた理由や、職人である杉山氏の秘密?魅力?に迫りつつ、後編では私がオーダーしたバックについてご紹介したいと思います。

それでは、まいりましょう。

■ようやくみつけた、理想の鞄:Kazami no(カザミノ)
私が「これぞ私にとっての理想の鞄であり、アガリの鞄だ!」と直感的に感じて参加させて頂いたのが、杉山和秀(すぎやまかずひで)氏が立ち上げたビスポークバックのブランドである、カザミノのトランクショーでした。
Kazamino_カザミノ_トランクショー1
※承諾を頂き、撮影しています。

実は少し前からSharonさんの店頭にはカザミノのサンプルバックであるトートバックが展示されており、またイルクアドリフォリオのトランクショーにて、職人の久内氏が仕事道具を収納し、愛用していたバックがカザミノのバックであったため、その存在は見聞きしておりました。



そして、それらのバックを見た瞬間、これは「自分にとっての理想の鞄だ!」と言うトキメキを感じたのです。

これまで私はいくつかのブランドのバックを使ってきましたが、現時点でビジネスにおいて主に愛用しているのが、CHAMBORD SELLIER(シャンボール セリエ)のトートバック。エルメスやカルティエと言ったフランスの有名メゾンの鞄の生産を請け負ってきたことでも知られるファクトリーが、2004年から展開を開始したオリジナルブランドです。

※私が愛用しているのは、上記モデルの色違いです。

シンプルだけれど上品さのある表情が気に入っており、またブランドとしての主張も強くないので、ビジネスにおいても使いやすい点が重宝しております。

またトートバック以外にも小型、中型のクラッチバックも3種類ほど保有し、オフの日を中心に利用。

※上記は小型のクラッチバック

そしてオンの日でもPCを持ち歩くことのない日には、Sharonさんのオリジナルブランドであるラテッラ(製作はイルクアドリフォリオの職人である久内氏の奥様が担当)のクラッチバックが大変お気に入り。
LaTERRA_クラッチ15

A4サイズの書類が無理なく入る大きさと、持った際の手のひらへの馴染みが抜群で疲れが少ない上、全て手縫いで仕立てられた独特のステッチ、風合いが、自ら好んで着用している手縫いの柔らかい風合いを持つスーツやジャケットと抜群に相性が良いのです。気に入りすぎて、色違いで2つ目もオーダーしたほど。
ラテッラ_クラッチバック2_7

あまりにも気に入りすぎてバックもオーダーしたいくらいでしたが、現在は小物アイテムとクラッチバックのみしか受注していないとのことで、バックの受注が開始されるのを期待していました。

もちろん世の中にはビスポークバックを手掛けている職人さんやブランドは多数あり、それらも一通りチェックしていたのですが、自分好みのスタイルに合わせようとすると、雰囲気が硬すぎる、または主張が強すぎるものばかりでした。

日本人の職人さんが制作する鞄はどれも美しく、評判も良さそうなのですが、どんなに素晴らしくても自分のスタイルに合わないのであればしょうがない・・・、と言う状態だったのです。

このような中で今回出会いの機会を頂いたのが、上述した杉山氏が手掛ける”カザミノ”だったのです。何がそんなに良いのか?何が私のトキメキを想起させたのかと言うと、Sharonさんのトランクショー開催告知ページに記載されていた、カザミノの職人である杉山氏の言葉に凝縮されています。

『柔らかさがあり、主張し過ぎない、しかし普通とは少し違う鞄を目指しております。』
※Sharonさんのページより引用

日本におけるスーツのビスポーク文化と言うのは、英国から入ってきているわけです。もちろん最近はイギリスからイタリア、更にはもっと砕けたリラックスしたスタイルへとトレンドは大きく変化しておりますが、クラシックの世界におけるベースは英国。よって靴の世界も、鞄の世界も、英国的な表情を持つものが多い。特に日本人の職人さんが仕立てる靴や鞄のビスポークアイテムの中心は英国的なスタイルだと感じています。

実際、クラシコイタリアと言われるスタイルがブームになったのが90年代くらいからと言われていますが、当初はメディアが煽っていただけで、本質的に市民権を得たのはここ20年くらいだと思うのです。そうなると、現在トップ前線で活躍している職人の方々はイタリアよりイギリスに馴染みがある方が多く、自然とイギリスよりのスタイルに影響されている方が多いのではいかと個人的には考えていたりします。

なお、英国的なスーツと言えば、肩幅を広めにとり、肩にパッドを入れて構築的な、威厳あるカチッとしたスタイルが特徴的。まさに”スーツは鎧”ではないですが、装いが威厳や階級を表してきたという歴史が、そこに現れているわけです。もちろん英国のテーラーもトレンドの変化によってイタリア的な、ソフトな風合いに変化をしていますが、アイデンティティーを失うほどの変化ではありません。

そして、これらのスーツに合わせて持つことを想定して作られたバックは、自然とカチッとした頑丈なつくりのバックになりますね。


英国的なスーツに合わせるのであればスーツのスタイルとのバランスもとれ、トータルとしてまとまったスタイリングとなると思うのですが、私が好んでいるイタリアの中でもナポリのように、特に柔らかいスタイルのスーツに合わせると主張が強すぎて、浮いてしまうほどのアンバランスさが出てしまいます。


よって自らのスタイルに合わせ、バックも硬さのない、またクラシック過ぎないモダンさのあるものを求めていたわけですが、カザミノのバックは見た瞬間に感じる「柔らかさ」と「モダンな上品さ」が自分のスタイルにピッタリだと思ったのです。

更に、多くのブランドにありがちな「主張の強さ」が良い意味でなかったことも大変気に入りました。やはり職人さんが自らの手で生み出したものは、当然”作品”、そして”子供”であり、世の中に対して強くアピールしたくなる気持ちはわかるのです。ただ、その想いゆえに、あまりにバックの主張が強いと装い全体におけるバランスが崩れてしまうので、取り入れにくいというのが個人的に思っていること。

そのような中で『人と洋服を引き立てる鞄を提供すること』をテーマにしているカザミノのバックは、強く主張をすることなく、それでも見る人が見ると普通のバックではないことが分かる点が自分の感性に刺さったわけです。それはまさに、私が求めていた”理想の鞄!”と言った印象でした。

■Kazami no(カザミノ)の職人:杉山和秀氏の魅力
今回参加させて頂いたシャロンさんで開催されたカザミノのトランクショーですが、私は14日(土) 13時からの1時間枠で予約をさせて頂きました。事前にモデルや革、色などの仕様を決めていましたので、オーダーに関するビィスポーク(話し合い)は早々に済ませて、職人である杉山氏のバックグラウンドや、どのような経緯でこれまでの日本人の職人さんには見られなかったスタイルが生み出されたのか、色々とお話を伺ってきました!
Kazamino_カザミノ_トランクショー3
※承諾を頂き、撮影しています。

一応小さなブログを持っていることをお伝えし、お話させて頂いた内容を記事として公開することに承諾を頂きましたので、以下に、その時伺ったお話をご紹介させていただこうと思います。
※記事公開後に訂正等が入った場合には適宜修正させて頂きますことを、予めご了承ください。

まずは杉山氏ご自身について。Sharonさんのトランクショー告知ページにも記載されていますが、杉山氏はまさに先月、2022年4月まで、外資系IT企業に勤務されていたビジネスマンでした。

一言でIT企業と言っても実はかなり幅広い業界なのですが、中でも杉山氏は時間的、体力的、精神的にかなり負荷のかかる業務に携わっておられたようです。もちろん、その世界のトップ前線でこれまで活躍されて来られたので、そのままのキャリアを進んでも大きな成果を残されたと思うのですが、ご自分の理想や、より充実した人生を送るために、趣味が高じて始めたビスポークバックの職人として2022年5月に独立。今回Sharonさんにて開催されたトランクショーが職人としての初の受注会だそうです。

「趣味が高じて」始められた鞄つくりですが、そのきっかけは、まさに私が悩んでいた!?ことと同じようなことだったようです。

実は杉山氏は大の服好き。私も少し前にお世話になった神戸のテーラーであるCOLさんなど、様々なテーラーや職人さんで服を仕立てられてきたそうですが、中でもイタリアのフィレンツェのスタイルが特にお好きなようです。実際、靴は私もお世話になっている久内淳史氏が手掛けるイルクアドリフォリオでビスポークされているそうですし、トランクショー当日はフィレンツェのサルトリア コルコスで宮平氏が仕立てたジャケット、そしてパンツには五十嵐トラウザーズを合わせておられました。

そんな杉山氏ですが、自分の好きなイタリアの服にフィットする”柔らかさのある鞄”や、主張が強すぎず、オーナーや服よりも前に出ることのない”控えめな鞄”を探したようです。しかしながら、そういった鞄は探しても見つからない・・・。世の中にないのであれば自分で作ろうと、まずは趣味として革鞄の制作を開始。

めきめきと実力がついていき、自分の鞄を持ち歩いていると「それはどこのブランドの鞄?」と聞かれることが増えていったと言います。そしてビジネスマンとしての傍ら、少しずつ仕事として鞄の受注を開始。結果として「柔らかさがあり、主張し過ぎない。そして人と洋服を引き立てるような鞄」と言った杉山氏ご自身が追求した理想が、「Kazami no」のビスポークバックの根幹をなすに至ったようです。

正直、職人さんであれば自らの作品を主張したいはずだと言う固定観念があった私は、トランクショーの告知ページにあった『人と洋服を引き立てる鞄を提供すること』をテーマとしていることや『柔らかさがあり、主張し過ぎない、しかし普通とは少し違う鞄を目指しております。』と言う杉山氏のお言葉に驚きとともに強い共感を覚えていたのですが、上記のお話からなぜそういったブランドコンセプトに至ったのかを理解したわけです。服や靴と言った、ファッションが好きな杉山氏だからこそ、鞄のみならず、頭のテッペンからつま先まで、ファッショントータルでの視点を取り入れたモノ造りが出来たのかなと。

ちなみに、杉山氏はビジネスマンとして働きながら10年間ほど教室に通って鞄つくりを学んできたご経歴があるのですが、実は、あのORTUS(オルタス)を主催する小松直幸氏から鞄作りを学んでいたそうです。これには私もビックリ!なぜなら様々なビスポークバックのブランドがある中で、個人的に以前気になっていたのがオルタスのバックだったからです。

繊細な美しさとエレガントさを感じていたものの、やっぱり気になったのは「硬さ」。それゆえ、自分のスタイルを考えるとバランスが取れないなと感じて見送っていたのでした。そんな過去?があったので、杉山氏が小松氏から鞄つくりを学んでいたことを伺った際には、どこかで”縁”を感じるとともに、大変驚きました。

なお、私は職人さんが何処で、誰から学んでいたのか、修行をして来たのかと言う経歴を比較的重視しています。なぜなら、最も長く修行をして来た所(テーラー/サルト/師匠)の影響が、その人の作風(スタイル)に必ず影響を与えると感じているからです。しかし杉山氏の生み出すKazami noのバックには、正直オルタス、小松氏のスタイルを感じることが出来なかったので、それを率直にお伝えしました。

すると、鞄の作り方の基礎、技術はしっかりと小松氏から学んでいるものの、杉山氏は自らの理想とするバックが元々あったために、ブランドとしてのスタイルの影響を受けなかったのだ、と言うと語弊があるのかもしれませんが、限りなく影響は少ないとのことでした。

ところで、手縫いをうたうビスポークバックの中でも、「Kazami no」や「ラテッラ」のようにほぼ100%を手縫いで仕立てるブランドは実は多くはありません。カザミノは1つのバックを仕立てるのに1か月程度かかる(※)ことを明言していますが、はじめは手縫いで始めたバックブランドであったとしても、売り上げや利益、またコスト構造を変えようとすると、ミシンを多用せざるをえなかったり、外注に出さざるを得ないのです。
※バックによって3週間で出来るもの、1か月以上かかるものがあるそうです。

つまり”何を大切にする”のか、によって仕立て方が変わるわけですね。
※もちろん経済性以外の耐久性などの観点からミシンを使用することもある

これは、実は服や靴の仕立ての世界でも同じです。例えばインスタ等で納品物をたくさんアップしている職人さんがいたとすると、それはその方が一人で仕立てているのではなく、外注を多用することで生産数、納品数を上げているのだと教えて頂きました。職人さんであれば、一人で仕立て上げることの出来る限界数量は自ずと決まってしまうことを知っているわけです。

個人的には外注を使うこと自体を「悪」だとは思っていません。着心地や履き心地に影響を与える部分、顔となる部分は自分で行い、それ以外は外注に頼むことで一定の経済規模を作り上げることは、業界を維持し、また仕事を受ける側の職人仕事に従事する方々のためにとっても必要なことだからです。

例えば日本を代表するビスポークシューズ職人である福田さんは、外注を使っていることを公言(※)しています。これは、福田さんが目指すところが「日本の靴を世界に広める」ということを重視しているからで、これを実現するには生産数に限界がある自分1人で仕立てるのではなく、お弟子さんや外注に出すことで規模を拡大し、存在感を発揮する必要があることは明確です。
※アトリエに訪問した際に直接ご本人から伺いましたし、雑誌のインタビューでもお話されていたと記憶。

しかし、自分1人で仕立てているような宣伝をしながら、外注を多用することはお客さんをだますことになるので「悪」だと思っています。1人で仕立てることが正義であり、唯一絶対の価値だとは全く思いませんが、もし自分が対話している職人さんに仕立てて貰いたい、または職人さんの目の届く範囲内で仕立てて貰いたいというお考えをお持ちの方がいたら、メディア等で喧伝されていること鵜吞みにするのは避けた方が良いと思います・・・。

少し話がずれてしまいましたが、杉山氏ご自身が型紙作成から革の裁断、縫製まで行っているカザミノ。杉山氏に、なぜ手縫いにこだわっているのか?と言う質問をしてみました。そこで返ってきた答えが非常に興味深いと言いますか、なるほどと思ったのです。

それは、「ミシンを買うお金がなかったから」と言うものでした。

革の鞄を手作りしようするときに、絶対に必要になるのが革を薄く、漉くための機械だそうです。これは必須だと。よって限られた資本の中で革の鞄づくりを始めた時にはミシンを買うお金までは回らなかったのが、手縫いのバックになった理由だそう。

今では手縫いであることの価値が見直され、世界的にも有名となったナポリのサルトと同じ理由です。ヨーロッパに近い中部から北のサルトは工業化の波を受けて手縫いからマシンメイドに切り替わっていきましたが、ミシンを買うお金がなかったナポリのサルトは、そのまま手縫いを続けた。これが時代が流れ、ほとんどがマシンメイドになった世の中で逆に価値を発揮することになったのですから、興味深いですよね。

なお、今では”手縫いの方がステッチが綺麗になる”という拘りもあり、一部内部の処理にミシンを使う場合もあるようですが、意図をもって、ほぼ100%を手縫いで仕上げているそうです。

私は「手縫いの方がステッチが綺麗になる」と言うお言葉を更に深く聞いてみました。と言うのも、美しさの定義を「精緻さ」とするのであれば、手縫いよりもミシンの方が狂いなく精緻なステッチになるからです。その質問に対する杉山氏の回答は、こうでした。下の画像をみてください。ステッチが分かりやすいようにモノクロにしていますが、これはカザミノのバックの手縫いのステッチです。このステッチは、右から左上に斜めにステッチが入っているのが分かると思います。
Kazamino_カザミノ_トランクショー2

ミシンで作ると、こういうリズミカルな表情のステッチにはならず、真っすぐに、機械的なステッチを描くことになるのだそう。実際、私の持つシャンボールセリエのバックは直線的なステッチとなっていました。
シャンボールセリエ_ステッチ

この辺りは「美」の感覚、定義次第であり、”美しさをどのようにとらえるか”によりますが、手縫いの服や靴を愛する者同士、杉山氏の「手縫いの方がステッチが綺麗になる」と言う言葉の意味をしっかりと理解したことは言うまでもありません。

他にも、フランスの某メゾンのバックはなぜ高いのか?どんな点が凄くて、どんな点が普通なのかと言った、革の鞄を扱う職人だからこそ分かるリアルで興味深い話なども伺いましたが、これは本記事の趣旨とは異なってきてしまいますし、ラグジュアリーブランドの値付けに関する話は、個人の小さなブログ記事とはいえ、なかなか書きにくい部分でもありますので、気になる方はトランクショーに参加した際に是非、杉山氏との”ビィスポーク”を楽しまれてみてください。(笑)

と言うことで、少し長くなりましたが前編はこのあたりで締めさせて頂き、後編では私が今回オーダーしたバックを取り上げたいと思います。





スーツにリュック(バックパック)はアリか、ナシか?

こんにちは!
本日は「スーツにリュック(バックパック)はアリか、ナシか?」と言うテーマを掲げて、コラム的にお送りしたいと思います。

それでは、まいりましょう。

■スーツにリュックはアリですか?はい、ナシです。(笑)
さて、たまに頂くことがあるのが「スーツにリュックはアリでしょうか?」「アリなら、どのブランドのリュックがお勧めですか?」と言った趣旨のご質問。

結論から申し上げますと、「ナシ」なんです。(笑)

そう言うとここでコラムが終わってしまうので、理由なども含めてご説明しながら考察を加えてみたいと思います。

まず、実は「スーツ」と言っても世の中には様々なスーツがあることをご存知でしょうか?例えば私が「スーツ」と言う言葉を使うときには、それは職人さんが、顧客の体形に合わせてフィッティング、カッティング、ソーイングをする、いわゆるビスポークスーツを指していることがほとんどです。

こういったクラシックなドレススーツを着るときには、スポーティなアイテムを合わせることはまず、ありません。シャツもドレス用の生地、色、柄のものを合わせますし、ネクタイも、靴もしかり。スーツを着用する場に合った、適切なアイテムをコーディネートします。

リュックを見てみればわかりますが、明らかに機能的なアイテムですよね。ドレッシーなアイテムは機能的なアイテムとは別のところで生まれたものですから、これらをミックスして用いることは基本的にはないのです。

実際、リュックの起源を調べてみると、wikipediaには『背中に負うタイプの袋は、打ち止めた獲物を担いで山野を渉猟する猟人のために最初に考案されたと考えられる。』との記載があります。つまり、狩猟や登山をする人が荷物を持ち歩く際に両手のふさがることのない、背負うタイプの物入れとして機能的なリュックが生み出されたというのが、リュックの起源なのかなと。

もちろん、装いのルールの観点からのみ、スーツにリュックを合わせることを否定しているのではありません。他にも理由があります。それは、スーツにリュックを合わせると、スーツ自体を痛めてしまうからに他なりません。

実際「スーツは肩で着る(※)」と言う言葉がありますように、私が着用しているようなビスポークスーツの肩回りの作り方は、快適な着心地を実現するうえで、とても重要なのです。しかしリュックを背負うことで、肩の生地がリュックとその荷物の重みによって後ろにひっぱられることになりますから、そうなると生地や縫製も伸びて痛みますし、アイロンワークによって顧客の体形に沿うように仕立てられたものが台無しに・・・。
※私は肩より首筋のフィッティングを重視します。

特に最近は英国のスタイルであってもパッドなどを抜き、軽く仕立てられているスーツがほとんどです。型崩れ防止のパッドを抜いたら、その分軽さは出ますが、型崩れを起こしやすくなることは容易に想像できますよね。そんな状態の肩に後方への負荷がかかるリュックを背負ったらどうなるのか、火を見るより明らかでしょう。

つまり、クラシックなスーツにスポーティなリュックを合わせることは、クラシックなスーツの着こなしと言う”装いのルール”の観点からだけではなく、”スーツ(ジャケット)へのダメージ”や、”型崩れによるビジュアル上の懸念”から”ナシ”なのです。

ちなみに、ビスポークスーツを着てる方が、それにリュックを合わせているシーンを見たことは、私はありません。

ところが、必ずしもビスポークされたクラシックなスーツだけが、”スーツ”ではありません。日本ではコロナ禍を経て、パジャマスーツと言う名の”スーツ”が生み出され、企業の業績を大きく押し上げるほど大ヒットしたことは記憶に新しいと思いますし、ユニクロのようなファストファッション系ブランドから販売されている、ストレッチ素材を用いた感動ナントカと言うジャケットやパンツも存在します。

これらのスーツ(ジャケット)たるものは、本来のクラシックなスーツとは全く別物の概念から生まれたものですから、例えばそういった”スーツ”や”ジャケパン”スタイルにリュックを合わせるのはだめなのか?と聞かれれば、私なら「アリではないでしょうか。」と答えることもあると思うのです。

つまり、質問者がどんな”スーツ”を想定しているのか?であったり、業界や職場の服装規定、本人の着こなしなどによって、スーツにリュックを合わせるのはアリなのか、ナシなのかの判断、回答が変わるのが実際のところなのかなと思います。

■こんなスーツには、こんなリュックを合わせてみるのもアリ!?
では、どんなスーツやジャケパンスタイルであれば、リュックを合わせあるのがアリなのでしょうか?

私は基本的にはスーツの持つスポーティさが基準となるように考えてます。やはり装いはトータルバランスですから、クラシックなスーツにリュックを合わせるのはナシだったとしても、上述したような「ストレッチ混素材のスーツ」であったり、「アンコンジャケットまたは、シャツジャケットのような芯材が一切使われていないジャケット」。また「イージーなんとか、と言ったドローコード付きのパンツがセットになっているようなジャージ素材を使ったような”スーツ”」には、リュックを合わせても大きな違和感はないように感じます。

そして判断が難しいのが、大手セレクトショップなどで販売しているような10万円前後くらいのマシンメイドのスーツ。これらはスポーティなスーツではないものの、ビスポークスーツに比べると繊細なつくりをしているわけではありません。つまるところ、当然負荷のかかるリュックを背負えば生地や作りにダメージは出るものの、着る人の考え方によってはナシではないのかもしれないなと。(個人的にはやっぱりナシなのですが・・・)

また、スーツに合わせるリュックとしては、例えばストレッチ混のスーツや、ドローコード付きのイージーナントカと言うスーツにTシャツやくるぶしを出してスニーカーを合わせるようなスタイリングであれば、以下のようなカジュアルなデザインのレザーリュックなんかはアリのように感じます。




他にも10万円全前後くらいまでのマシンメイドのスーツに合わせるのであれば、ブリーフケースなどを想起させるスクエアなデザインのリュックであれば、まだフィットするのかなと。ブリーフィングなんかは若いビジネスマンがスーツに合わせて背負っているイメージもあります。


また、定番ですがTUMIもありますね。




他にもカジュアルなコットンスーツやシアサッカーのスーツなどを着用できる職場であれば、ナイロン素材のフェリージのリュックなどを合わせることもできるのかなと。(下記画像はウールスーツを合わせているようにも見えますが・・・笑)


なお、ラグジュアリーブランドのリュックを合わせることもできますが、ビジネスシーンで取引先やパートナーに対してブランドのリュックであることを主張することの賛否は分かれるのかもしれません・・・。(仕事が出来ればまだアレですが、出来ない日にはビジネスマンとしての評価は言わずもがな・・・)

ちなみに、どんなブランドのリュックを選ぶにせよ、基本的には”ミニマムなデザイン”で、”色はダークトーンかつ色数は少ない”モノがお勧めです。いくらカジュアルなスーツであったとしても、アウトドア系、スポーツブランド系のリュックは避ける方が良いと個人的には思います。

と言うことで、基本的にはスーツにリュックを合わせるべきではないという個人的な考えがベースにはあるものの、業界や業種、本人のスタイルを踏まえたうえで、こんなスーツであれば、こんなリュックを合わせるのもナシではないのかもしれないという、私個人の独り言を述べさせて頂きました。

皆さんはどう思われますか?






モダンさのある、クラシックスタイルなトラウザーズ:Luigi Solito(ルイジ・ソリート) ウールパンツ

こんにちは!
本日は「モダンさのある、クラシックスタイルなトラウザーズ」と言うテーマで、先日購入したアイテムをご紹介出来ればと思います。

それでは、まいりましょう。

■モダンさのある、クラシックスタイルなトラウザーズ
さて、この度購入をしたのは Luigi Solito(ルイジ・ソリート) ののウール トラウザーズ/パンツ。サルトリア・ソリートのフィッター兼カッターとして活躍しているルイジ・ソリート氏の名前を持つ既製服のブランド(※)で、これまでもカジュアルウェアを中心にいくつか購入をしてきました。
※デザイン、パターンメイキングはルイージ氏が担当

初めて購入したのは、サルトが本気で作ったアンコンジャケット。芯材が大幅に省かれているため、ビスポークジャケットのようなしっとりと体に寄り添う、納まり感は薄いのですが、その分軽さ、カジュアルさがあって、オン、オフ問わず、気軽に羽織ることが出来る1着として、衝撃を受けたアイテムです。
LuigiSolito_ルイジ ソリート_アンコンジャケット13
※「名門サルトが本気で仕立てたアンコンジャケット!?

続いて購入をしたのが、コットン素材のサファリジャケット。カジュアルアイテムを伝統的なサルト技術をもって仕立てるという、かなり贅沢なジャケットとなっており、既製品だからこそ!?気軽に楽しむことが出来るアイテムとなっています。
ルイジソリート_サファリブルゾン_5
※ 「Luigi Solito (ルイジ ソリート)のコットン サファリブルゾンを着てみた!

更に、デニムスラックスも追加で購入。カジュアル素材をドレスパンツのアプローチかつ手縫いで仕立てているという、他ではあまり見ることのないパンツに仕上がっていました。
ルイジソリート_デニムスラックス10
※「Luigi Solito ルイジ ソリート のデニムスラックスを買ってみた!

このような中で今回は購入したのは、ホーランド・シェリーのドライタッチウールを使用したドレスパンツになります。正直春夏用(※)のパンツはそろっているのですが、ワンタックは少ないことや、SharonオーナーのK氏のプッシュもあり(笑)、購入をさせて頂きました。
ルイジソリート_ウールパンツ1
※ドライタッチウールでサラリとしてますが、適度な生地厚があるので春、夏、秋の3シーズンは使えそうです。

デニムスラックスと同じく、ベルトレスのサイドアジャスタータイプ。
ルイジソリート_ウールパンツ2

フロントはもちろんパンチェリーナ仕様となっており、腹、腰回りをしっかりとホールドしてくれます。
ルイジソリート_ウールパンツ3

デニムスラックスもそうでしたが、ルイジ・ソリートのパンツのインナーにはサスペンダー用のボタンもついているので、吊って履きたいという方には嬉しい仕様。
ルイジソリート_ウールパンツ4

股の十字からヒップにかけては伸縮性を持たせてありますので、つっっぱることなく、快適に歩き、また座ることが出来ます。
ルイジソリート_ウールパンツ5

そしてルイジ・ソリートのドレスパンツの特徴と言えば、股上の深さと太すぎず、細すぎない、絶妙なパンツ幅。これによって、履いてみるとクラシックなんだけれど、コスプレ感のない、程よいモダンさを感じることが出来るのです。
ルイジソリート_ウールパンツ6

過去に名をはせたサルトの中でも、二代目に技術がしっかりと引き継がれ(※)、かつサルトリア・ソリートのように、イギリスやアメリカ、日本と言った海外でトランクショーを開催できるほど支持の集まるサルトはかなり少ないのが現状です。
※有名だから、または大手が開催しているから安心と言う理由でビスポークをすると、価格不相応なものが出来上がることがあります・・・。

その中でもルイジ・ソリート氏はフィッターとして海外を飛び回っておりますから、様々な国でファッション感度の高い顧客とコミュニケーションする中で養われた感性があり、その感覚が、これらのアイテムにも反映されているのかもしれません。

■ルイジ・ソリートのウールパンツを履いてみた!
せかっくなので、着用イメージもご紹介したいと思います。サルトリア・ソリートのスタンダードなパンツのカッティングよりも、股上は深め。ハイウエストなシルエットになり、またクリースも綺麗に落ちているので脚長効果が期待できます。
ルイジソリート_ウールパンツ7

サイドから見ても、美しいシルエットが出ていますね。
ルイジソリート_ウールパンツ8

私はサイズ44からウエストを3㎝ほど詰め、あとはアジャスターで調整するアプローチで合わせました。ランチやディナーを食べ過ぎだとしても、調整できる点は便利です♪(笑)
ルイジソリート_ウールパンツ10

ヒップ回りの表情。ヒップが上を向いているように見えるのは秀逸なパターンのおかげ。手縫いのヨレは、ナポリらしい表情のように思います。
ルイジソリート_ウールパンツ9

手縫いの既製品パンツと言うだけで選択肢がかなり少なくなり、また履き心地の良さ、シルエットや佇まいの美しさなどを求めるのであれば、数少ない選択の1つが、ルイジ・ソリートのパンツなのかもしれません。
ルイジソリート_ウールパンツ11

実際にコーディネートに合わせると、こんなイメージになります。ハイウエストなのでネクタイの長さがちょっと気になりますが(※)、コスプレ感は出ないので安心してオン、オフともに使えます。
ルイジソリート_ウールパンツ12
※少し前かがみになっているので、実際にはもっとネクタイの位置は上がります。

ちなみに合わせたのは、ロロピアーナのペコラネラを使ったサルトリア・ソリートのグレンチェックジャケット。
ルイジソリート_ウールパンツ13

この日は温かかったこともありますが、足元にはローファーを合わせて軽快感を意識しました。
ルイジソリート_ウールパンツ14

履いてみると納まりも良く、履き心地の良さはもちろんですが、太さがまさに今の気分をしっかりととらえている感じがして、思った以上に気に入りました♪
ルイジソリート_ウールパンツ15

今回入荷があったのはミディアムグレーとチャコールグレー。私が選んだのはミディアムグレーになります。結構サイズ欠けもしていますが、気になる方は是非、Sharonさんでチェックされてみてはいかがでしょうか。
※本日ご紹介した商品は、コチラ





簡易クローゼットで服を片付ける!:SLOWER(スロウワー) DUSTPROOF SHOERACK Cooper

こんにちは!
本日はここ数年悩んでいた問題を解決すべく、購入した雑貨アイテム?を取り上げてみたいと思います。

それではまいりましょう。

■悩ましき、服の収納問題
これまでも本ブログでは”限られた居住空間の中で、いかに服の収納量を増やすのか”と言う、服好きが必ず?と言ってよいほど直面する問題に対して、様々な方法論をもって取り組んできました。(笑)

まず居室内のクローゼットがいっぱいになったら探すものが、ハンガーラック。
※ハンガーラックのご紹介記事は、コチラ

そして、更なる収納量を求めて壁面をクローゼット化する荒業も慣行。
※カーテン付き頑丈ハンガーラックのご紹介記事は、コチラ

また、ドア裏だって無駄にしないよ!と言うことで、折り畳み式のドアハンガーも導入。
※ドアハンガーのご紹介記事は、コチラ

そして収納量を増やしたら次にすべきことは、いかにコンパクトに収納し、収納力を稼ぐのかと言うアプローチ。そのためのツールも導入しました。例えば、厚さが薄く、滑りにくいハンガーを試してみたり、
※適度に滑らない薄型ハンガーのご紹介記事は、コチラ

スタック可能なハンガーを購入してみたり、
※パンツハンガー&ハンガーのご紹介記事は、コチラ

と言うことで、涙ぐましい努力をたくさん重ねてきたわけです。それでも「収納が増えれば物が増える」と言いますように、収納を増やしては服が増え、コンパクトに収納しては服が増えの繰り返しで(笑)、衣裳部屋と化している1つの部屋は、いつしか足の踏み場もない、服の山が出現しておりました・・・。

特に、カジュアル系のアイテムが大変なことに。ドレス系アイテムはクローゼットやハンガーにしっかりとかけているのですが、スペースを取られたカジュアルアイテムは、重ねられて服の山の一部に・・・。(汗)流石にコレはマズいと思い続けてきたのですが、先日ようやく重い腰を上げて、対応することにしたのです。

色々と考えたのですが、来客があっても見られる部屋ではないことや、今後引っ越しなどを含めて変動の可能性があることから、出来るだけコストをかけず、簡易な形で”その場しのぎ”を行うことにしました。(笑)

■SLOWER(スロウワー) DUSTPROOF SHOERACK Cooper
このような中で見つけたのが、「SLOWER(スロウワー)のDUSTPROOF SHOERACK Cooper」。


本来は約16足ものシューズを収納できる”組み立て式の簡易シューズラック”のようですが、収納力があるクローゼットとしても十分機能しそうな上、5000円ちょっとと言うお値段もお手頃。しかも組み立て式でかさばる感じがないので圧迫感もなく、不要になれば解体もできるということで、とりあえず1つ購入をしてみました。
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フレーム部分は鉄、接合部はポリプロピレンで、ラックとカバーはポリエステルと言う素材。高級感はありません。
SLOWER_DUSTPROOF_SHOERACK_Cooper2

テントを立てるような感覚で、組み立てを開始します。
SLOWER_DUSTPROOF_SHOERACK_Cooper3

組み立てに工具は不要。手でパーツを差し込み、組み立てます。
SLOWER_DUSTPROOF_SHOERACK_Cooper4

接合部品の形が紛らわしいのですが、穴が開いている方が上部を向くように取り付けます。
SLOWER_DUSTPROOF_SHOERACK_Cooper5

そしてそこに棒を立てる。
SLOWER_DUSTPROOF_SHOERACK_Cooper6

4隅に立てる。
SLOWER_DUSTPROOF_SHOERACK_Cooper7

上からラック部分を載せるとこんな感じ。ひたすらこの作業を繰り返します。なお、接合部分にフレームをしっかりと入れ込まないとゆがんだまま組みあがるので、ちょっと注意が必要です。
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ちなみに一番下に来る接合キャップ(ラックの脚になる部分)は他の箇所よりも若干長いので、間違わないようにしましょう。
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全て組み立てると、こんな感じの簡易ラックになります。サイズは、W500xD300xH1600(mm)と、そこそこの収納力。
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ポリエステルのカバーも付属しますので、埃が積もることもなく、安心。しかもこの状態での重量は約2.2㎏と軽量なので、女性が片手で持って移動することも出来る手軽さがあります。
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各棚の耐荷重は5㎏ほど。服を入れるのには十分ですし、もともとはシューズラックと言うことで、靴を箱ごと入れても問題なさそう。
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ちなみに全体総耐荷重は約30kgほどだそうです。
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棚の内寸ですが、幅が約46㎝、奥行きは28㎝、高さは15㎝ほど。革靴やスニーカーの箱が横に2つ入るくらいの広さです。
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なお、本来の設計では一番上の棚の高さだけ「33.5㎝」と少し高くなっているのですが、私は一番下にスニーカーを箱ごと重ねて収納しようと考えていますので、一番高さのあるラックを最下部に配置しました。
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■実際の評価は?
と言うことで、最後に実際の使用感をお伝えしてから、本記事を締めたいと思います。今回は溢れ出るカジュアルウェアと積み重なるスニーカーをどうにかしよう!と言うことで簡易的なラックの購入を検討したわけですが、私は収納したい服の量がかなり多かったのでもう1台追加し、結局2台のSLOWER DUSTPROOF SHOERACK Cooperを導入しました。

カラーだと生活感が溢れすぎますので、モノクロで。(笑)
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山積みになっていたカジュアルウェアとスニーカーの箱(中身アリ)が、ほぼ全て納まりました♪
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今回は2つで11000円(税込・送料込)ほど。セール時期ですと500円引きクーポンが出ていることがありますので、そうなると税込・送料込の1万円ほどで2つのラックを導入することが出来ます。

価格と収納可能な服や靴の容量と言う観点でいくと、かなりコストパフォーマンスが高い収納アイテムだと言いう印象です。IKEAやNITORIなど、低価格なファニチャーブランドで選ぼうと思っても、これだけの収納量を求めますと、なかなか1万円では買えませんし、ファニチャー系は耐久性も求められるのでゴツクなる傾向が強いです。

その点、SLOWER DUSTPROOF SHOERACK Cooperは「W500xD300xH1600(mm)」と言うコンパクトさと「重量2.2㎏」と言う軽量さが魅力的。もちろん耐久性や収納アイテムに対する耐荷重とはトレードオフの関係性になりますが、とりあえず人に見せることのないバックヤードに置く服や靴を安く、どうにかしたい!と言う方にはお勧めかなと思います。

ただ、正直商品としての品質は低いと言いますか、価格相応な感じです。(笑)組み立てているとフレームとなるポールの塗装と思われるカスが床に落ちていたり、プラスチックの接合部やフレームの質感も高くない。
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また、棚となるラック部分はポリエステルのシートで出来ているので、当然モノを置けば多少たわみます。よって、見せる収納を求めている方や、人に見られる場所に設置することを考えている方には、あまりお勧めはしません。

販売サイトなどを見ていると、かなりスタイリッシュにうまく撮影されていますが、実際にはそこまでの高品質感はないので注意してください。

と言うことで、SLOWER DUSTPROOF SHOERACK Cooperは安く、収納量ある洋服・靴用ラックの導入を考えている方や、恒久的なラックではなく、簡易的、一時的に収納量を増やしたい方で、見せる収納、人に見られる場所には設置しないよと言う方には、かなりおススメのラックになるのかなと思います。

気になる方は、是非チェックされてみてください!