Sartoria Naoi(サルトリア ナオイ) di Sharon を着てみたっ!:着用イメージ編
こんにちは!
これまで、「スタイル編」「着心地編」と記事をお送りしてきました、自身初のスミズーラ(ビスポーク)のスーツである「Sartoria Naoi(サルトリア ナオイ) di Sharon 」ですが、本日は「着用イメージ編」と言うことで具体的な着用イメージを数枚ほどですが、ご紹介出来ればと思います。
それでは、まいりましょう。
■Sartoria Naoi(サルトリア ナオイ) di Sharon の着用イメージをご紹介
まずご覧頂きますのは、こちらの写真。正面やや下側から撮影した、釦を留めた際の着用イメージです。私はあまりジャケットの釦を留めるシーンはないのですが、それでも釦を留めた際のシルエットも大切ですね。
釦を留めても釦付近に「Xジワ」がよることのない、適正なサイジング。チェストに綺麗にラペルが吸いついており、浮いてしまうようなこともありませんし、余計な所にシワが出ることもありません。フロントカットの開き具合もちょうど良い塩梅で気に入っております。パンツは若干ロングホーズに引っかかってしまっておりますが、それでもクリースが綺麗に下まで落ちていますね。
フロントの釦を留めないと、こんな雰囲気です。「スタイル編」でも記述しましたが、フロントのダーツは正面から見えにくい脇下から斜めに入り込んでくるフィレンツェのスタイルを取り入れておりますので、ジャケットの前身頃の見え方がとても綺麗ですね。また、美しいラペルのロール(返り)は、個人的に最も気に入っているポイントの1つです。
続いて上半身のアップです。ゴージラインの高さは、私の所有する吊るし(既成品)の中ではシャマットを彷彿とさせる高さです。ラペルもややワイドで、最大幅は10.5cm程あります。いかにもスミズーラ的な雰囲気がありますが、私の背丈を考えますと次回はあと5mm位は削ってみても良いかもしれないと思っていますが、どうでしょうか。
フロントの釦を開けても、しっかりと背中、ウエストに吸いつく感じは職人仕立てならではです。人体が中に入りますと、チェストのヴァルカポケットの傾斜は男性らしい胸板の厚さを演出してくれますし、フロントポケットの後方に向かっての傾斜は腰の位置を高く見せてくれるように感じ、脚長効果も期待できそう。着心地の良さだけではなく、着る人の体を美しく見せてくれる配慮も嬉しいです。
「悩めるトルソー君」が着ると生地が余っていた上腕二頭筋付近もご覧の通り。この写真からお伝えすることが出来るか分からないのですが、腕を動かしても支障のないギリギリの細さになっておりますので、見た目はかなりスマートな印象がございます。
そしてパンツ。今回はワンタックで仕上げて頂いておりますが、上から見ますとクリースがかなり綺麗ですよね。パンツはこのクリースがどんなラインを描くかのかどうか、が「足の美しさを演出すると言うビジュアル面」では重要なポイントのように思います。
少しひいてみますと、こんな感じです。もちろんパンツの全ての工程は、直井氏ご本人によるものです。ちなみにパンツの股上はやや深めに仕上げて頂いておりますので、包まれているという安心感と安定感がございます。また、下記の画像はベルトですが、インナーにはサスペンダー用の釦も付けて頂きましたので、吊るとより美しいラインを描くように思います。
こちらはヒップまわり。自撮で上半身をひねって画面を見ながら撮影しましたのでシャツがちょっと微妙ですが、持ち上げられたような美しいヒップまわりには自分でも感激した位です。(笑)
さて、ここからは少し動きのある着用イメージもご紹介出来たらと思います。
マーシャル・マクルーハン氏のメディア論に端を発している、「衣服は人間の皮膚に次ぐ第二の皮膚である」と言う考え方がありますが、直井氏のスーツの着心地は、まさにそんな考え方を反映しているかのようです。体の支点に沿ってカッティングがなされておりますので腕を曲げても余計な生地がひっぱられることがなく、ジャケットは綺麗なままですし、腕の稼働も至極スムーズ。
日常のビジネス・シーンではあまり腕を後方にふることはございませんが、前だけではなく、後ろに動かす際にも快適性が損なわれることはございません。
こちらは再掲させて頂く画像ですが、電車の吊革を持ってもスーツのラインは崩れませんし、身頃の生地がひっぱられることがないので、腕の稼働もノンストレス。カマが腕の太さにあわせて浅目に設定されており、かつコンパクトなアームホールになっているからこそ出来る技ですね。
必要十分な背幅と背中側のイセ込みによって、どのような状態に腕を動かしたとしても”まるで自分の皮膚のように”、ストレスなくジャケットが付いてくる、と言うのはただただ感動するあまりでした。
もちろん、腕を組むと言う、両腕が前に出ることで背中の生地がひっぱられる状態であったとしても、ご覧の通り、腕の生地が無理に引っ張られている感じがしませんよね!?直立不動の状態では上記画像のようにシワのない、美しい面を魅せてくれる一方で、肩や腕を動かすと、どこからともなく生地が出てきて体の動きに追従すると言うのは、まさに職人技としか言いようがありません。
と言うことで、実際に着用した際のイメージや、体を動かした際のスーツの表情をご覧頂きました。
■スーツ(ジャケット)をス・ミズーラ(ビスポーク)する際は、好きか嫌いかで選ぶべし
さて、今回私は初めてスーツのス・ミズーラ(ビスポーク)にチャレンジしてみたわけですが、今後スミズーラにチャレンジしたい!とお考えの方の参考になればと、メモ書き程度ですが、感想を書き記しておきたいと思います。
まず、誰に仕立てて頂くか、と言うことですが、たった1回の経験ではありますが、「仕立てる経験をせずに、良いか悪いかを判断することはほぼ不可能」と言うことをまずは書いておきたいと思います。
スーツやジャケット、靴のスミズーラに限らず、全ての物事においてそうなのかもしれませんが、経験せずに物事の善し悪しを判断することはほぼ不可能なことのように思います。(ビジネスでは求められることもありますが、最後はやってみないと分かりません!?)
ことさら、1人1人の体型が異なる服や靴の分野であれば尚更で、ある人にとってはベストな職人さんが、必ず自分にとってもベストであるとは限らない、からです。逆に言えば、ある人にとっては合わない服や靴も、自分にとってはベストになる可能性も否定できない、と言うことですね。
私は今回Sharonさんの専属職人である直井茂明氏に自身初のスミズーラを依頼したわけですが、これまでSharonさんにお伺いさせて頂く中で、スタッフの方はもちろんですが、既に直井氏のスミズーラをご経験されているお客様から、凄いから1着作った方が良いよ!と言うおススメのお言葉を数人の方から頂いておりました。
ただ、上述しました通り、「ある人にとってベストであっても、自分にとってベストとは限らない」わけです。
よって、私は主に吊るし(既成品)のアイテムから入って自分の中の経験値を積み、自分の感性、感覚のレベル向上に努めるとともに、それぞれの持つ「スタイル」がなんとなく見てわかるような訓練(経験)を少ないながら積んでまいりました。
その上で、更に直井氏が監修したパターンを持つ、マシンメイドのパターンオーダーである、「IL mare」と、ほぼ手縫いで仕立てられたパターンオーダーである「sartoria sharon」を1着ずつ経験することで、直井氏のパターンの感覚を少なからず感じる事が出来たわけですね。
それでも、IL mareもsartoria sharonも、直井氏がパターンを監修はしているものの、直井氏によるスミズーラとはやっぱり異なるわけです。
では、「何が自分の背中を押したのか」と言いますと、「良いのか悪いのか」ではなく、結局「好きか嫌いか」、つまるところ、「カッコ良い(と感じる)のか、カッコ良くない(と感じる)のか」、「美しい(と感じる)のか否か」と言う、感性の部分で判断したわけです。
具体的には、実際に直井氏のスミズーラのスーツを着用されているスタッフさんや顧客様のお姿を直に拝見したり、therakejapanの松尾編集長のブログに登場した直井氏のスーツを着用された方のお姿なんかをじっくりと観察させて頂き、やっぱり直井氏のスーツがカッコいい!と、感じたわけですね。カッコ良いと感じた、美しいと感じたから直井氏に仕立てて頂くことを決心したわけで、事前に良いか悪いかの判断が出来ていたわけでは、全くないのです。
つまり、結果的には自分の感性に従った選択が、今回は大正解でした!と言うだけのお話です。
従いまして、今後スーツやジャケットの初めてのスミズーラをご検討されている方には、「良いか、悪いかではなく」、ネイビーが好きか、グレーが好きかと言ったことと同じ次元で、自分の感性と言う名のフィルターで「ビビッ」とくる方に仕立てて頂くことが1番良いと感じています。
もちろん安くはない買い物ですので、絶対に失敗はしたくない!と言う想いは誰しも思うことですが、「他人の感性を元に判断を行った故の失敗」と、「自分の感性に基づいて判断した際の失敗」とでは、そこから得られるものが全然違ってくると思いますし、次に生きてくるのは絶対的に後者であると信じています。
また、「カッコ良い」「美しい」と感じた方に依頼するわけですから、少なくとも1着目は自身の好みを反映させるのではなく、その職人さんの持っていらっしゃるスタイルで仕立てて頂くのが良いと思っています。逆に言えば、自身の好みを色々とお伝えしなければならいないようなスタイルをお持ちの方には、依頼すべきではない、と言ってしまっても良いかもしれません。
1着仕立てて頂けば、その方のスタイルを自分の体型に載せた際にどうなるのか、が分かりますので、そこがスタート地点ですね。そこから、自身の理想と、職人さんの持っている強み、スタイルをミックスさせながら理想を追求するも良いですし、そのまま職人さんのスタイルを踏襲して2着目に入るのもまた良しと言うことではないでしょうか。
まぁ1着しか経験のないrm55の意見は参考するに値せず!と言うご意見も、まったく持ってその通り!(笑)だと思いますので、一素人の戯言程度にお受け止め頂けば幸いです。
今後スーツやスミズーラに挑戦される方が、素敵な職人さんに出会い、素敵な1着を仕立てられることを心より願っております。