Kazami no(カザミノ) のビスポークバックが納品!
こんにちは!
本日は「Kazami no(カザミノ) のビスポークバックが納品!」と言うことで、以前下記2つの記事にてお送りしておりました、「理想の鞄を求めて」の"完結編"をお送り出来ればと思います。
「理想の鞄を求めて:Kazami no トランクショー at Sharon:前編」
「理想の鞄を求めて:Kazami no トランクショー at Sharon:後編」
それでは、まいりましょう。
■理想の鞄を求めて:完結編
さて、昨年の5月に北参道にあるセレクトショップであるSharonさんで開催されたKazami no(カザミノ) のトランクショーに参加させて頂いてから9カ月が経過し、ようやく物語が完結することになりました。
先日、同じくSharonさんで開催されれいたイルクアドリフォリオのトランクショーのトランクショーに参加した際に、無事にビスポーク トートバックが納品されたのです。それが、こちらになります。
トランクショーに参加させて頂いた際の記事にも記載しましたように、ビスポークにおける大きな醍醐味の1つが「職人さんが培われてきた美意識や世界観を感じること」だと私は思っています。よって、基本的にはファーストオーダー時の要望は極力少なく、職人さんの作品(=スタイル)をそのまま受け入れることにしています。
今回もKazami noのアイコン!?的なバックの1つとなっているトートバックをオーダーし、唯一依頼した点は、PC等の重量物を運んだ際に、底面が折れてフォルムが崩れることを避けるための底面の補強。それ以外は、Kazami noの素の提案をそのまま受け入れています。
数カ月ぶりに対面したKazami noのバックですが、やはり当時の私自身の直感がブレていなかった、もっと言えば”自分の理想に限りなく近いフォルムと仕立を持つ鞄であることを再確認した”と言うのが率直な感想です。
私はファッションアイテムには大なり小なり”スタイルが存在する”と思っていることは、これまでブログに記載してきた通りです、今回のKazami noのバックも職人である杉山氏が目指している『柔らかさがあり、主張し過ぎない、しかし普通とは少し違う鞄』と言うスタイルをはっきりと感じることが出来ました。
例えば、柔らかなフォルム。今回はサンプルと同じ、ドイツのタンナーによる柔らかなシュリンクレザーを使って仕立てて頂いておりますが、この革の表情が活きる丸みを帯びたシルエットは、とても優しい印象を与えます。
私が好んで着用しているスーツやジャケットも、イタリアのサルトの中でも最も柔らかく、丸みを帯びた表情を持つと私が感じているサルトリア・ソリートなので、愛称は抜群です。
また、Kazami noのバックはほぼ全てが手縫いで仕立てられていますが、杉山氏の師匠であるオルタスの小松氏に学んだと言う技術が見て取れるとても丁寧な縫製。
そしてミシン縫いの精緻さとは異なる、手縫いならではリズミカルで味のあるステッチは、手縫いのスーツやジャケットを好んで着てる方にはたまらない表情であるように思います。
そのような手縫いならではの温かみを感じるディティールがある一方で、番手の違うヤスリを数種類使い、革の裁断面であるコバを丁寧に、手間暇をかけて美しく仕上げている様には、学びを得た師匠から高い技術が脈々と受け継がれていることも感じさせます。
そして杉山氏がデザインした、真鍮製のオリジナルバックルが備わったベルトが『普通とは少し違う鞄』 であることを唯一主張するディティールのようにも思います。
内部は小さなポケットが2つ備わっており、携帯や財布などの小物を収納しておく機能性も確保。
私はエレガントなスタリングを好んでいますが、柔らかさがあって、主張をし過ぎず、それでいてエレガントな雰囲気を感じるKazami noのバックはまさに理想のスタイル。首を長くして待った甲斐があったなぁと言う感慨深さを感じました。
これから仕事をメインに、活躍してもらおうと思っています。
■Kazami no(カザミノ) でビスポークする際に知っておきたいこと。
さて、まさに理想の鞄を仕立てて頂いたわけですが、実際に手元に届いて改めてじっくりと観察したことを踏まえて、今後Kazami no(カザミノ) でビスポークバックを仕立てたい!と言う方に向けて、事前に知っておきたいことをまとめてみたいと思います。
①オーダー後はのんびりと待つ!
私がオーダーした2022年5月時点では、納期は凡そ6カ月前後だと伺っていました。ただ、今回納品を頂いたのは、オーダーしてから9カ月ちょっと経過した、2023年2月後半でした。
以前お送りした記事に記載しましたように、記事の執筆時点では杉山氏がお一人で仕立てており、それもほぼ手縫いで仕立てています。よって1個/1ヵ月ほどの生産数であることに加えて、独立から間もないこともあって!?、私がそうであったように、口頭で伝えられた納期が多少ずれることが考えられます。
これまでスーツや靴の納期がずれたことがなかったで個人的にはちょっと驚きましたが、上記のような状況ですので、オーダーをしたらのんびりと完成するのを待つと言う心構えが大切です。(笑)
ちなみに現在の納期は2024年5月と言うことなので、オーダーから1年3か月ほどの納期となっているようです。
②スタイルを理解する。
実は以前、杉山氏の師匠が手掛けるオルタスでビスポークをし、納品を受けた直後のバックを拝見させて頂く機会がありました。オルタスのバックは見た瞬間、ただものではないオーラが出ており、ちょっとした感性の持ち主であれば、それが”普通のバックではない”ことは誰でも気づくのではないか言うほどの”圧倒的な存在感”に驚かされた経験があります。
これに対して、Kazami noのバックは”普通”です。恐らく、100人いたら99人がビスポークバックだとは気づかないと思いますし、オルタスのような圧倒的存在感もありません。
でもそれは、持ち主よりも前に出ることがない、つまり、杉山氏が理想とする”主張し過ぎない”と言う思想があるが故のスタイルだと理解していますし、分かる人が見ると気づく程度の”普通とは少し違う鞄”です。私にとってはまさに”このスタイルが理想”なのですが、この点をしっかりと理解してオーダーをすることが、高い満足度を得るためのポイントだと思っています。
構築的なブリティッシュスタイルや、精緻かつクリーンな表情を持つスタイルよりも、柔らかさがあり、どこかにスキがあるように感じる、まさにイタリアのナポリ仕立てのスタイルに合うように私自身は感じていますが、ご自身のスタイルや、Kazami noのバックの持つ特徴をしっかりと理解した上でオーダーすることをおススメします。
③今後はアトリエでのオーダーをメインに!?
実は、Sharonさんでのトランクショーは前回が最初で最後であり、今後は開催しないと言うことになってしまったようで、今回も納品は直接杉山氏から受け取るのではなく、Sharonさんに送られてきたものを受け取るスタイルでした。
せっかくビスポークをしたので、オーダー時と納品時には職人さんとの会話を楽しみたい自分からすると、この点はとても残念でした。
ただ、今後は品川にあるKazami noのアトリエをメインにオーダーを受け付けていくようなので、納期の件とスタイルを理解し、自分も仕立てて欲しい!と言う方は、是非、HPやインスタグラムから事前に連絡の上、品川の自宅兼工房に訪問されてみてください。
Kazami no 公式HP
私も今回はトートバックを仕立てて頂きましたが、リュックも良いなぁと感じていますので、次にオーダーする際には直接工房に伺ってオーダーをしたいと思います♪