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Think Elegant !

ファッションを通して自らの人生と向き合い、美しいと感じるスタイルを追及するブログです。

SARTORIA LUCOLT(サルトリア ルコルト)のトランクショーに行ってみた!:前編

こんにちは!
本日は「SARTORIA LUCOLT(サルトリア ルコルト)のトランクショーに行ってみた!」と言うテーマで、久しぶりにファッションの熱量がかなり高い記事をお送り出来ればと思います。

なお、本記事は「前編」と「後編」の2部制でお送りします。「前編」ではトランクショーに参加させて頂くことになった経緯や、サルトリアルコルトのスタイルについて記述させて頂き、「後編」では生地選びやフィッティングなどのオーダーに関して記述させて頂こうと思います。

それでは、まいりましょう。

■ご縁
この度、かなり久しぶりに新たなサルトのトランクショーに参加してきました。今回参加させて頂いたのは、小澁修一郎氏が主宰するSARTORIA LUCOLT(サルトリア ルコルト)のトランクショーです。

そのきっかけは、私が本格的なクラシックスタイルに入るきっかけを頂き、現在もお世話になっているSharonさんへ通い始めた時期にお世話になっていたD氏からの1本のLINE。それが、ルコルトのトランクショーへのお誘いだったのです。

サルトリア ルコルト

名前を聞いたことはありましたが、自分のスタイルが出来上がったと言うことを口実に、最近は他のサルトや職人さんに関する情報収集を怠っており、お恥ずかしながら詳しく存じ上げておりませんでした。

そこで、まずはサルトリア ルコルトのInstagramアカウントを拝見させて頂くことにしました。



そこで感じたことは、大きく2点。
1つ目は、私が軸に添えているスタイルとは大きく異なるという点。そして2つ目は、小澁修一郎氏が独自の美意識を有し、美へのコダワリを相当強く持っていらっしゃるのだろうと言う点でした。

私はご存知の通り、イタリアのナポリのサルトである、サルトリア ソリートを自分のスタイルの中心においています。ナポリの仕立てはその歴史を紐解くと、欧州の貴族がバカンスで訪れた際に、一夏を楽しく過ごすための服をオーダーしたことによって発展していった経緯があります。

バカンスを心地よく過ごすための服ですから、「軽くて、リラックスできること」「動きやすいこと」などが求められ、いわゆる威厳を保ったり、礼節を強く表現する必要性はありません。

また、産業革命以降、工業化の波が英国からヨーロッパの各国へと波及していったわけですが、長靴のように縦に長い国であるイタリアの南部に位置するナポリは、その工業化の恩恵を受けることができませんでした。それ故、ミシンを利用することなく、手縫いで仕立てる文化が独自に発展していったわけですが、そのような一夏を過ごす”バカンス用の服”を”手縫い”で仕立てあげることによって、いわゆる「ナポリ仕立て」と言う、独特のスタイルが出来上がっていったわけです。

そのようなナポリ仕立ての中でもトップサルトの一角を担っているサルトリア ソリートは、スポーティで丸み帯びた柔らかいシルエットが特徴的。ハイゴージ&ワイドなラペルのスポーティさや、


ラペルロールが弧を描くように落ちていくシルエット。


また丸みのある、ナチュラルな袖付けなどにその特徴を見出すことが出来ます。


これに対して詳細は後述しますが、サルトリア ルコルトの持つスタイルは、ある意味では真逆のスタイルだと感じました。

よって、瞬間的には「自分のスタイルとは違うから・・・」と思いかけたのですが、わざわざお声掛け頂いたD氏との久しぶりの再会を実現する良い機会であったことに加えて、上述しましたように、サルトリアルコルトのインスタグラムから小澁修一郎氏が持つ、独自の美意識、美へのコダワリを強く感じたことが最終的には背中を後押ししました。

「美」と言うのは正解が1つあるわけではありません。様々な価値観、感性、感覚によって、また時と場合、更に時代によっても美の在り方が変わることだってある。

そのように考え直した私は、自分のスタイルとは異なれど、小澁氏の美意識、美の感性への強いコダワリ、意志に触れてみたいと思い、トランクショーへの参加を決断したのでした。

そんな”ご縁”によって、1月最後の週末に開催されたトランクショーへと参加することとなったのです。

■サルトリアルコルトのスタイル
ではサルトリア ルコルトのスタイルとはどのようなものでしょうか!?スタイルをどのように捉えるのかは、評価する人間がどのような服を見て、着てきたのかや、その人の感性、感覚が多分に影響するものですから、これが正しい唯一の見方と言うのは存在しないと思っています。よって以下に述べる内容は、あくまで私個人の見方、捉え方である点にご注意ください。

まずトランクショーにお誘い頂いたD氏は、サルトリア ルコルトのスタイルを「禁欲的でノーブル」と紹介されていました。具体的には、無駄を排除したミニマルさや、緻密で綺麗な仕立てであることから高貴さ。そして、それに伴う上品さが感じられるということだと私は捉えました。

実際にインスタグラムのアカウントに投稿されている仕立てた服を拝見すると、ショルダーラインやラペルからフロントカットにかけてのラインに迷いが一切ない、心地良いほどの潔さを感じます。


一般的にはラペルの表情や肩周り、ダーツの入れ方などによってスタイルを分けることが多いように思いますが、ゴージラインの位置やラペルの雰囲気からはミラノやフィレンツェのような空気感を感じつつ、肩回りはやや構築的でブリテュッシュの流れを感じさせます。


それでも、そんなサルトリア ルコルトのスタイルを私が一言で表現するのであれば、「皇族的」と言う言葉が一番しっくりとくる気がするのです。「貴族」ではなく、「皇族(Imperial Family)」です。


厳密な歴史的事実や定義ではなく、イメージ論なのですが、「貴族」、そして「皇族」と言う言葉からは”気品”であったり、”上品さ”と言うイメージを想起します。ただ”皇族”は、彼らの活動状況から人々に寄り添う”親しみやすさ”をも個人的には感じるのです

つまり、サルトリア ルコルトの服には”気品”や”上品さ”を感じつつも、どこかに着る人に寄り添うような”優しさ”、”親しみやすさ”の香りがすると。


そのように感じた私は、今回のトランクショーの会場であった「シェラトン都ホテル東京」の一室に入出し、ご挨拶や簡単な自己紹介をさせて頂いたのちに、真っ先に小澁氏がどのようなキャリアを歩まれてきたのか、その質問をさせて頂きました。
SARTORIA LUCOLT_トランクショー1

それは、スタイルに最も強い影響を与えるのはキャリアであると私は考えているからです。

すると、文化服装学院を卒業したのちに、スーツの本場と言えば英国と言うことで、イギリスに留学。しかし、産業革命発祥の地であるイギリスのテーラードの在り方は機械化、効率化が進んでおり、より服(スーツ)作りの本質に迫ることを意識する中で、サルトリア イプシロンの船橋氏と出会い、5年間ほど修行をされたとのことでした。

サルトリアイプシロンの船橋幸彦氏はカラチェニに学んだことで知られていますが、そのようなバックグラウンドを伺った時に、ルコルトの持つ、どこか貴族的な、気品ある雰囲気の源流を伺い知れた気が致しました。

また、独立後はすぐに顧客を多数持つことが出来るわけではないため、とあるサルトの下請けを行ったのだそう。

ルコルトは岡山に拠点を構えていらっしゃいますが、下請けを行うにあたってはサルトの近くのホテルに数か月ほど滞在し、直接そのサルトの縫い方、服の作り方を学んだのだとか。そのサルトの職人さんはイタリア南部にてキャリアをつまれた経験をお持ちですが、服作りの違い、技術など、多くのことを学んだと言います。

これは完全に個人的な解釈ですが、そう言ったイタリア南部の服作りのエッセンスが加わったことで、表面的には気品あふれる、上品な空気感を醸し出しているのですが、どこかにナポリ仕立てのような、生活に寄り添う優しさ、親しみを感じるのだと理解したわけです。

ちなみに下請けとは言え、パンツの仕立てから始まり、最後はジャケットの一部、またイプシロンではジャケットの丸縫いも任されていたそうですから、小澁氏の技術力に対する信頼感を感じるエピソードでした。


ところで、正直ルコルトでオーダーをするか否かは、当日のルコルトの服を直接目でみて、どう感じるのかや、良いと思える生地との出会いの有無といった、自分自身の直感に従って判断しようと考えていました。

実際、近くで見れば見るほどソリートとの違いを感じたわけですが、小澁氏がイプシロンでの学びを軸に置きながら、イタリア南部等、他の軸を取り入れることでご自身のスタイル、技術を昇華されていったように、私もソリートに軸を置きながら、その真逆のスタイルと私が評価したルコルトのスタイルを取り入れることで”自分自身も何かが変わるかもしれない”と言う期待感を持って、この度オーダーをさせて頂くことと致しました。

と言うことで、以上が前編となります。
後編はまた後日、お送りしたいと思います。