Le Spade(レ・スパーデ) ノープリーツ トロピカル・ウールパンツを購入!
こんにちは!
先日「Alfonso Sirica(アルフォンソ・シリカ)のリネン ヘリンボーン3Bシングルジャケットを購入!」の記事でご紹介したアルフォンソ・シリカが、「ナポリ仕立て」のプレタポルテにおけるジャケット(スーツ)の最高峰!?であるとするならば、本日ご紹介するのは、「ナポリ仕立て」のトラウザーズ(パンツ)の最高峰(だと思っている・笑)である、Le Spade(レ・スパーデ)です。
やはり職人による丸縫いのジャケットを購入すると、パンツもマシンではなく、同じように職人による丸縫いのパンツが欲しくなってしまうのが、人間の欲・・・。ということで、早速ご紹介したいと思います!
■1世紀を越えて受け継がれるもの
さて、本日ご紹介するLe Spade(レ・スパーデ)というブランド。聞き慣れない方も多いかもしれませんが、実はナポリで1世紀(100年)以上にわたって、パンツを作り続けてきたという伝説の!?職人家であるモーラ家のパスクワーレ・モーラ氏が1着1着、手縫いにて仕上げる、パンタローネのコレクション・ブランドなんです。
既に亡くなられたアントニオ・モーラ氏の後を継いだのが、パスクワーレ・モーラ氏なのですが、アントニオ・モーラ氏は、ナポリの名店ロンドンハウス(現在・ルビナッチ)において、あのヴィンチェンツォ・アットリーニ氏とともにスーツを仕立ててきた、伝説の職人です。
裁断した生地の地の目を、アイロンワークによって複雑に曲げて縫い合わせていくという作業は、恐ろしく生産性が悪い上に、非常に高度な技術を要するそう。この、何世代も続くモーラ家の試行錯誤の結晶が、まさに現在のモーラ家の当主!?である、パスクワーレ・モーラ氏が縫い上げるパンツへと受け継がれているわけです。
つまり、もともとビスポークしか生産していなかったモーラ家のパンツを、プレタポルテ(既製服)化したのが、本日ご紹介する、Le Spade(レ・スパーデ) というブランドなんですね。
私も書籍で読んで、モーラ家の存在は知ってはいたのですが、まさかプレタポルテのラインを手掛けているのはいざ知らず、ましてや、それがシャロンさんで購入できると知った時には、あまりの奇跡的!?な出会いに倒れそうになりました。(笑)
以前、あるアーティストの方とお話をする機会があったのですが、その方は、全ての作業を自分1人でこなすのではなく、日本の伝統工芸を扱う職人さんとチームを組んで、作品を作り上げることが多いと話しておりました。その時お話されていたことが、何とも印象的だったのです。
「私の作品には、それこそ、百年、二百年、千年という時を越えて培ってきた伝統や技術、英知が脈々と流れているのです。」
確か、そんな趣旨のお話だったと思います。
つまり、それぞれの職人が代々受けついできたものを一つの作品として結実させるとき、それは、職人が受け継いできたものを全て足しこんだだけの価値と言いますか、深さと言いますか、そんなものがあるのだと。
モーラ家のパンツもまさにそうですね。1人の人間が、その寿命(人生)の中で出来ることには、限りがある。しかし、そこで生み出されたものを、数世代に渡って受け継ぎ、ブラッシュアップし続けることで、一朝一夕には手にすることのできない価値が生まれるわけです。
■Le Spade(レ・スパーデ) ノープリーツ トロピカル・ウールパンツの実物をご紹介
それでは、そんな伝説の職人家、モーラ家の手掛けたLe Spade(レ・スパーデ)のパンツをご紹介したいと思います。
購入したのは、春夏シーズンに使いやすい、ライトグレーのノープリーツ トロピカル・ウールパンツ。このように平置きしてみると、作りが立体的になっているので、随所にシワが寄ってしまうのです。
※裾幅のみ1cmほど詰めて、17cmとしました。ダブル幅は4.5cm。
前見頃と後身頃の接合箇所は、見事なまでのハンドステッチ。とても柔らかい印象になりますね。
スラントポケットのまわりもハンド仕上げ。ちなみにスラントポケットとは、斜めに切ってあるポケットのことで、手が入りやすいように、という実用的観点から考案されたものです。
バックポケットの釦ホールもご覧の通り。
不均衡の美とはいったものですが、日本人の美意識にはかなりフィットするのではないか、と思っております。
以前シャロンさんでス・ミズーラ(パターン・オーダー)した際のパンツと同じ、パンチェリーナ仕様。これでもかっ!と言う位に、ハンドで仕上げられていることが、こんな表情からもお分かり頂けるかと思います。
サイズは44で、かなりフィットする感覚です。ただ、レ・スパーデもアルフォンソ・シリカと同じく、そのほとんどが職人の丸縫いによって仕上げられておりますので、サイズ感は入荷時期によって異なります。しっかりと、店舗で試着されることをおススメ致します。
※172cm 59kg ウエスト76cm
極上の穿き心地は、今まで体験したことのないレベル。
極限まで副資材を省いており、非常に軽い感覚にしあがっております。
パンツの中でも最も負荷のかかると言われている、股の縫い合わせ箇所は、力を逃がす、特殊な方法で縫われていると言います。
こちらは後身頃ですが、こんなところに弧を描くようなダーツが。これも穿き心地に影響を与える、一つのディティールなのでしょうか。こういった代々受け継がれてきた技術を堪能できるというのは、大変に幸せなことだと思います。
これも股の縫い合わせ箇所を表面からみたカットですが、後身頃が大分前にきているのがお分かりになりますでしょうか。きっと皆さんお手持ちのインコテックスなどのパンツと比較されてみると、その違いが分かりやすいと思います。実は、これ、穿き心地に大きく影響するディティールの一つなのです。
ちなみにインコテックスのJ35の股の縫い合わせ箇所が、こちら。
この距離の短さ、つまるところ、後身頃の大きさが、インコテックスと比較して大きいのです。これが意味するところの秘密は!?追って、ご紹介したいと思います。
穿くときに気が付きましたが、手持ちの部分の釦ホールもハンド仕上げでした。本当にマシンを使っている箇所が見当たらない、職人パスクワーレ・モーラ氏による丸縫いされた”作品”なのだ、と感じました。
ということで、1世紀以上も続くパンツ職人家であるモーラ家。100年以上に渡って思考錯誤を繰り返し、その代々受け継がれてきたパターン、縫製技術、アイロンワークなどの技術の結晶でもある、まさに芸術作品とも言って良い!?レベルのウールパンツのご紹介でした。
ちなみに気になるお値段は、なんと39000円(税別)!
マシンメイドのインコテックスやPT01も、ものによっては4万円オーバーが当たり前のご時勢ですから、個人的にはかなりお買い得な価格設定ではないかと思っております。
シャロンさんの顧客の方にも大人気のようで、大分サイズ欠けが発生しているようですが、そんな芸術作品とも呼べるパンツをチェックされたい!と言う方はお早めに・・・。
※シャロンさんのオンラインShopは、コチラ。
私も、ホワイトやコットンのベージュを所有する、PT01のNUSINESS。税込でも25000円ちょっとなら、ぜんぜんありですね。耐久性もありますし、パンツもうまく使いわけて楽しみたいところです。
チャコールグレーは、ジャスト税込25000円でした。